団体受験事例

世界遺産検定 担当者の声|橋本敏博さん

『日本最古の大学』
足利学校で世界遺産を学ぶ

足利市教育委員会事務局
史跡足利学校事務所 所長
橋本 敏博氏

自治体として全国で初めて世界遺産検定を開催

―― 足利学校で、世界遺産学講座と世界遺産検定を開催した理由はなんですか?

国宝 宋刊本文選(もんぜん)
国宝 宋刊本 文選(もんぜん)
周から梁までの約1000年間の代表的文人の詩文の選集。北条氏政より寄進されました。足利学校にはこれを含め、4種77冊の国宝があります。

 足利学校は、「足利学校と足利氏の遺産」として世界遺産登録を目指しています。そこで、世界遺産について学ぶ講座、検定を実施することで、世界遺産に対する関心を高め、「足利学校と足利氏の遺産」の世界遺産登録に向けた市民の気運を盛り上げたい、というのが一番の理由です。

 また、現在、足利学校では、生涯学習を目的に様々な講座を市民に提供しています。世界遺産学講座は、世界遺産を通して多くのことを学べるという点で、生涯学習のテーマとしても魅力があるのではないか、と感じました。

―― メディアにも取り上げられたということですが。

 自治体として世界遺産検定を開催するということは、全国でも初めての取り組みだとのことで、記者会見を開きました。新聞各社の記者を集めての記者会見は初めてだったのですが、いくつかの新聞で取り上げていただき、PRすることができました。

―― 講座・検定を開催してみていかがでしたか?

 「世界遺産学講座」は2008年の8月から9月にかけて毎週土曜日全7回の講義を、足利学校にほど近い足利まちなか遊学館で開催しました。講座と検定に関する広報は、足利市民に全戸配布される市広報紙「あしかがみ」とホームページを通じて行い、56名の受講者が集まりました。足利学校で開催する生涯学習の講座では、50代、60代の中高年の方々の受講が多かったのですが、世界遺産学講座の受講者は30代、40代が中心で、若い層の受講者を取りこむことができました。

―― 世界遺産学講座が若い受講者に支持されたのはなぜでしょうか?

 世界遺産学講座では、世界遺産を通し世界の歴史・自然・地理・芸術文化・宗教・時事問題など、多岐にわたって幅広く学習することができますので、海外旅行や国際交流に興味のある若い方が多く参加してくださったようです。講座で取り上げた世界遺産に「行ったことがある」という受講者の方も多かったみたいですよ。

―― 受講者の方々の反応はいかがでしたか?

 まず、受講者の熱心さに驚きました。連続7回の講座ともなると、後半は出席率が低下し、5-6割となってしまう場合も多いのです。ところが、世界遺産学講座の出席率は最初から最後まで8割以上。これは驚異的な数字です。やはり、その先に世界遺産検定受検という目標があったからではないかと思っています。一応、講座と検定受検は切り離していたのですが、多くの受講者が検定受検を目標に頑張っていたようです。

―― その頑張りは受講者の検定合格率にも表れていますね。

 そうなんです。検定受検者のうち、3級は9割、2級は5割の方々が合格しました。全国平均合格率と比べ、格段に高い合格率だとのことで、嬉しい限りです。受講者がそれだけ真剣に勉強し、学んだ知識を身につけたということですから。

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足利学校で学ぶことは、戦国時代の軍師のステータスだった!?

―― ところで、足利学校とはどういった史跡なのでしょうか。

江戸時代の姿で復元した「方丈」
江戸時代の姿で復元した「方丈」です。学徒の講義や学校行事、また来客のための座敷として使用されました。寄棟造りで屋根は茅葺き、禅宗寺院の方丈形式であるのが特徴です。

 足利学校は、室町時代に最も栄えた「日本最古の大学」です。当時の日本において、儒学、中国学、五山文学の最大の教育機関であり、一説によると学徒を3,000名以上擁していたと言われています。1549年に来日したフランシスコ・ザビエルは、「日本国中最も大にして最も有名なる坂東の大学…」と、海外にその存在を伝えています。

 庠主(校長)が臨済宗の僧であり、学徒の身分も僧でありながら、仏教を学ぶことをしない、という点と、学徒は日本全国、遠く九州や琉球からも集い、宗派などを問わない開かれた学校であったという点が、とてもユニークな存在でした。

 室町時代には儒学、特に易学が盛んに学ばれました。というのも、世は戦乱の時代。戦国武将たちは、足利学校で易を学んだ僧を、戦術の参謀、軍師として重用したからです。かの武田信玄も、軍師を徴用する際に「占は足利にて伝授か?」と尋ねた、という記録が残っています。当時としては足利学校で易を学んだ、とうことが、ステータスだったのでしょうね。

 また、安土桃山時代の庠主、閑室元佶(かんしつげんきつ)は徳川家康に仕え、片腕となって働きました。そのため、足利学校と徳川家の結びつきも強く、江戸時代の庠主は代々、将軍家の1年間の運勢を占い、将軍に献上していました。

―― 足利学校は世界文化遺産登録を目指しているということですが。

 中世の代表的教育機関としての足利学校とそれをサポートした足利氏に焦点を当て「足利学校と足利氏の遺産」ということで、まずは世界遺産暫定リスト入りを目指しています。

 残念ながら、2008年9月の調査・審議結果では見送りとなりました。文化庁は、足利学校を他の教育関連遺産とともに、「近世の教育遺産」として、検討することを勧めています。我々としては、こうした登録の道も探りつつ、引き続き「足利学校と足利氏の遺産」としての登録をめざしていきたいと思っています。

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世界遺産検定を通して子供たちにも学びの輪を広げたい

―― 来年も引き続き世界遺産学講座、世界遺産検定を開催される予定ですか。

足利学校の象徴的な門
寛文8年(1668 年)に創建され、現在足利学校の象徴的な門となっています。

 今後も足利学校の世界遺産登録を目指していきますから、世界遺産検定も引き続き開催する予定です。来年の世界遺産学講座は、今年の講座を受講した方が再び受けることもできるよう、切り口を変えた講座にしようかと思っています。世界遺産は、地域別、時代別、ジャンル別…など様々なアプローチで学ぶことができる、ということも、生涯学習のコンテンツとして優れた点ですね。

―― 世界遺産検定に望むことはありますか?

 小学生、中学生を対象とした世界遺産検定4級の実施です。グローバル化社会の中で活躍する、本当の意味での国際人を育成するためには、英語だけでなく、世界の歴史や地理、文化なども学ぶ必要があると思います。また、小学生のうちから世界遺産を通して世界の文化や歴史を知ることは、大きくなってから世界史や地理などを学ぶ際の素地となるはずです。世界遺産検定へのチャレンジを通して、子供たちにも学びの輪を広げたい。そのためにも、小学生、中学生でも受けられるような検定を早く作っていただきたいですね。

 「夏休み親子で学ぶ世界遺産」といった講座を開けば、受講者の年齢層もぐっと広がりますし、海外旅行が好きな親も一緒に学べて、とても魅力ある講座になるのではないか、という気がしているんです。

「史跡足利学校HP」
http://www.city.ashikaga.tochigi.jp/01_kakuka-page/10_kyouiku/06_ashikagagakou/gakko.htm

「足利学校と足利氏の遺産HP」
http://www.city.ashikaga.tochigi.jp/01_kakuka-page/10_kyouiku/05_bunka/sekaiisan/sekaiisan-home.htm

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