団体受験事例

世界遺産検定 担当者の声|香川眞教授

国際観光を通した人のふれあいで、
相互理解と世界平和を築く

流通経済大学 社会学部
国際観光学科教授
大学院社会学研究科 研究科長
日本国際観光学会常務理事
香川 眞氏

観光研修と町おこし、観光インターンシップによる実践

―― 流通経済大学は、社会学部の中に国際観光学科がありますが、どのようなことを目標としているのでしょうか。

香川教授と学生達は北京国家体育場(鳥の巣)も見学
香川さんと学生達は北京国家体育場(鳥の巣)も見学。オリンピックの盛り上がりを肌で感じる。2008年度、観光研修。

 私としては、「ホスピタリティーのある若者を育てる学科」だと思っています。家に彼女が来る時、掃除をして、どうしたら喜んでもらえるか考えるでしょう? そんな気持ちがホスピタリティーだと思っています。観光はゲスト(客)・ホスト(迎える側)・ブローカー(旅行会社等の事業者)の三者で成り立っていますが、どの立場に立っても自分が楽しめ、他の相手を楽しませる人になってほしい。

 最近築地で、マグロのせり場へ外国客が立ち入るのを禁止したケースがありましたが、あれは三者ともホスピタリティーが欠如していた例です。観光客は生の商品に触ったらどうなるか考えるべきだし、旅行事業者は事前に注意事項を教えてあげればよかったし、迎える市場側も禁止事項の大きなイラストを見せ、注意してから入場させる手もあった。こんな時、どの立場にいても相手の立場だったらどういう行動を取るか予測して、敬意を払いつつ、皆が楽しくなるように事態を動かせる「賢さ」を学生達に持ってほしい。そしてそういう能力は、「①実際に自分達が旅をする、②迎える側になってみる、③旅行事業者のような企画や行動をしてみる」ことによって成長してゆくものだと考えます。

 ですから、①について、流通経済大学の国際観光学科では希望者約60人を毎年1週間、観光研修担当の教員が手分けして米国や中国などに海外旅行に連れて行っています。

 ②に関しては、これからもっと授業で取り上げようと思いますが、私が協力している町おこしに自主参加している学生達がいます。茨城県の阿見町は以前タケノコの名産地でしたが、格安の外国産ものに押されてやっていけなくなりました。観光地としての生き方を模索し始めたのですが、ここで注目したのが荒れた竹林です。そこかしこにあって地元の人には珍しくもありませんが、鬱蒼たる竹林は、整えたならば神秘的で美しく、それだけで観光資源になりえます。竹炭で霞ヶ浦の水質改善した後で肥料にしたり、竹のいかだを組んでのレース、イベントも考えています。こうやって企画参加しているうちに、学生たちは迎える側の立場もわかってくるでしょう。

 ③については、2009年4月から、「観光インターンシップ」をはじめます。受け入れ先は旅行・交通・宿泊関係の企業などです。学生時代から企業の現場を経験し、就職の際にこの経験を活かしてくれたら、と期待しています。

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世界遺産検定の正規プログラム化と団体受検の導入

―― 2009年から世界遺産検定講座を開始、団体受検も導入しますが、その理由は?

 単発ではない世界遺産検定講座が、大学の正規の課外授業として行われるのは初めてと聞いています。連続した講座を2つのキャンパスでやる予定です。

 元々旅行業界に受け入れられる人材を目指して様々な資格の取得の後押しをしているのですが、ここ最近の傾向として旅行業者側が「旅行業務取扱管理者と世界遺産検定の資格を合わせて持っているといい」と考えているように感じるんですね。そういう就職対策的な部分もあります。課外授業形式なら気軽に取れますし、世界遺産検定事務局が講師を派遣してくれることも魅力です。

 ただそれだけでなく、今の学生に日本を含む「世界」に気づくきっかけにしてほしいんです。やはり試験があると学生もやる気が出ますし、3級、2級、1級、マイスターと身近な目標をクリアしているうちに初めは考えもしなかった深い知識レベルに到達できるかもしれません。

 合格者を多くするには、受検者を多くすることが確実で、そうすると学校で受けやすい団体受検を導入する価値があるでしょう。そして世界遺産についての勉強は、たとえ試験に落ちても楽しい勉強です。その国の自然や文化を学んでから行く観光は、ずっと意義ある満足なものになるでしょう。

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世界遺産の役割と、観光の未来

―― 好きな世界遺産は何ですか?

香川教授が「どうにも凄い」と賞賛する中国の世界遺産万里の長城
香川さんが「どうにも凄い」と賞賛する中国の世界遺産万里の長城。衛星写真が不鮮明な時代には、宇宙から唯一見える人工物と言われた。1995年度、観光研修。

 私が大好きな世界遺産は万里の長城と兵馬俑で、理由はよくわかりません。ですが、人間がどうしてこんなもの凄いスケールのものを作れるんだろうと思います。この感動を伝えたくて毎年のように中国へ学生を連れて見せに行きます。  

 ただ観光面から言うと、日本から中国へは自由にいけるので2007年の訪中日本人は約400万人でしたが、中国から日本への個人観光旅行は認められていないため、訪日中国人は約94万人しかいませんでした。中国と韓国の間でも同じような状況です。交流を進めるには国の観光政策も重要ですね。2008年には観光庁もできたことですし、国同士で話し合ってほしいです。中国の旅行システムが開放され、この偏りが解消されたらいいなと思っています。

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―― 観光の果たす役割について、思うところをお聞かせください?

 A国の人がB国へ行き、B国からA国へ旅人が来る。現実に人が移動することで、相互理解が生まれる。それは国同士が平和な関係を築く大前提だと思っています。いくらバーチャルに交流したってこの現実のふれあいには敵わない。

 まずは世界遺産検定のために勉強して、それをきっかけに知らない地域に向かって目が開かれ、世界地図が頭の中にできていくといいですね。世界の地理感覚を養うために、日本以外にも全ての国の人が世界遺産の勉強をすればいいと思いますよ。少しでも知れば好奇心が芽生え、旅をする人が増えて観光が盛り上がります。全く知らない国には旅したいと思いようがないですからね。世界遺産を求めて実際に旅をすれば、認定された美しいものと同時に、周囲にあるその国の抱えるシビアな現実とも必ず出会う。自然に環境問題とも南北(格差)問題とも向き合うようになるでしょう。

 こうした観光によって交流が増えれば、中国の普通の人はこんな感じ、韓国の普通の人はこんなことを大事にしているという肌感覚と親しみも養われていきます。お互い何をやったら嬉しいか、どの程度嫌がるか、もわかり、意図的な報道にもだまされにくくなります。

 お互いの感覚や習慣、常識を理解し、ぶつかり合う以外の選択肢をとれるようになったなら、それは平和な世界に一歩近づいたと言えるのではないでしょうか。

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