団体受験事例

世界遺産検定 担当者の声|長橋 透氏

グローバル化・ボーダレス化の時代
世界遺産は人間形成に有効なツール

青山学院大学
社会情報学部 教授
長橋 透氏

観光と経済を関連づけて研究

―― 所属している社会情報学部と研究している専門分野について教えてください。

 一般に高校2年生のときに進路・勉学のコースは文系・理系に分かれ、大学でも同じく文系・理系に分けられ、それに沿って学生は勉強をしているのではないでしょうか。しかし社会に出たら、文系・理系の二元論で分けられる仕事ばかりではありません。基本的に文系の仕事だけれど理系の考え方が必要なものもあれば、その逆もあるでしょう。社会情報学部は、そういう状況に対応するために、ひとつの学部のなかで人間・社会・情報の各分野で必要不可欠な知識とコミュニケーション能力を身につけることができる文理の枠を超えた学部です。

 学部の中では経済学を教えていますが、特にゼミでは「経済学による観光研究」をテーマとしています。簡単に言うと、「捉えどころのない"観光"を経済学の理論によって解釈する」ということです。具体的には、「観光による経済効果」「観光関連企業のビジネス行動」「旅行者の行動」そして「観光と環境の関わり」等について、学生たちと勉強しています。

社会情報学部は'08年に設けられた新しい学部。学部のオリジナルサイトもあり情報が充実している。
社会情報学部は'08年に設けられた新しい学部。学部のオリジナルサイトもあり情報が充実している。
 これ以外に、本学独自の科目である「青山スタンダード」で教えています。これは'03年に設立された主に1、2年生を対象にした教養科目で、所属学部・学科に関係なく履修することができます。本学では観光に関する講義を聴く機会がなかなかないということで、教養コア科目の中の社会理解関連科目の一つとして私の講義が始まりました。対象が全学部の学生なので、経済学による観光の話だけでなく観光の歴史や観光政策なども加えて、教養科目にふさわしい内容にしています。現在は、全学部合わせて180名ほどの学生が受講しています。

世界の観光資源の理解がより深まる世界遺産検定

―― 昨年からその講義に世界遺産の出張講座と団体受検を導入していますが、その理由は?

 私が学んだ経済学は、歴史、政策、理論の3つから構成されています。歴史の部分では、これまでどのような経済活動が行われてきたかや、貨幣が生まれた理由などを扱いますが、ここに関連付けて「観光の歴史」というテーマで観光という言葉が生まれた経緯や、日本及び世界の観光の歴史を教えています。

 たとえば「観光の歴史(世界)」の講義では歴史の流れに沿いながら世界の観光資源を紹介するのですが、そのきっかけとして世界遺産を取り上げることが最適なのではないかと思いました。なぜなら学生は世界の観光地のことはよく知らなくても、世界遺産というだけで興味を持つようになるからです。もちろん多くの学生は、世界遺産という言葉は知っていても、世界遺産がどこにあるのか、どういったものが認定されているのかをよく知りません。そこでそれらの基礎的なことを専門家に教えてもらおうと、昨年、世界遺産アカデミーの出張講座をお願いしたんです。

長橋 透 氏

 結果は講師の方が各地の世界遺産をスライドを使用して詳しく解説してくださったので、学生はとても熱心に耳を傾けていました。また、世界に目を向ける良いきっかけにもなったと思います。例えば、日本は戦争をしないことを65年間守り続けている平和国家ですが、世界には戦争をしている国がまだまだたくさんあります。戦争が悲惨な結果しかもたらさないことを、危機遺産に指定されているエルサレムやバーミヤンを知ることによって学ぶことができたのではないでしょうか。

 国連に加盟している国なんてせいぜい200弱しかありませんが、言語の数や民族は数千、いやもっとたくさんあるともいいます。学生は、世界遺産について深く知ることで世界のまだ見ぬ民族にも目が向くでしょうし、自分たちの知らないことがまだまだたくさんあるということを認識することもできるでしょう。

 やはり大学は若者の人間形成をする場所ですし、これからますます世界はグローバル化、ボーダレス化になっていくので、経済学的なものの考え方だけではなく、他の国や地域の社会システムや風習・民族といった自分たちとは異なるものを意識し、理解しようとする感覚を育てる必要があります。そのきっかけに世界遺産の学習は十分なり得ると感じています。

 今回の出張講義は、私個人にとっても刺激的な講義でした。特に危機遺産についての話を聞いたことがきっかけで、身近な世界遺産である白川郷での観光客のモラル低下や屋久島のゴミの問題などが深刻な状況にあることを知り、驚きを禁じ得ませんでした。

 

 検定を受けることによって、この授業で勉強してきた世界の歴史や観光資源についてより理解が深まると思い昨年団体受検を実施しました。また検定は、就職活動にも有益でしょう。特に旅行業界に進みたい学生は世界遺産検定の資格を持っていれば、旅行業に興味があることやある程度の知識を有していることを面接者に強くアピールすることができると思います。

真の国際人を育成するためにも今後も継続

―― 今後の取り組みについて教えてください

 学生には世界遺産はただ美しくて楽しいものだけではなくて、危機遺産や負の遺産があるということを通じて、平和の重みや環境・景観を維持することの意味などにも関心をもってほしいと思います。ただ世界遺産に認定されているものを知るだけではなく、もう一歩進んでなぜ危機遺産や負の遺産があるのか、何が原因で登録されたのかという、その「なぜ?」という問いかけを常に持ち続けてほしいと思います。そして日本に閉じこもらないで、世界にいつも目が向くような人材に育ってほしいと願っています。
 団体受検を実施している他の多くの大学等と同様、国際人の一つの教養として世界遺産の知識を身につけることはとても有益であると考えていますので、今後も世界遺産アカデミーの出張講義と団体受検を継続して行ないたいと思います。将来的にはこの出張講座を受けた学生の中から、ビジネスだけでなく世界における平和や環境の問題に取り組む者が出てくれば嬉しいですし、その可能性は十分にあると思っています。

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