東儀 秀樹さん
世界遺産を知り、学ぶことが「心」を育て、国際交流の「入り口」を作る
伝承文化である雅楽の奏者にして国際人。2人の「東儀秀樹」が重なりあう「世界遺産コンサート」
―― 世界遺産を舞台に日本と開催地を代表するアーティストたちが競演する「世界遺産コンサート」に、第1回(ウズベキスタン・サマルカンド)から参加されている東儀秀樹さん。まずは、世界遺産に深い関わりをもつようになったきっかけを教えてください。
僕は「世界遺産コンサート」が開催される以前より、アンコールワット(カンボジア)、アッシジ(イタリア)、暁の寺院(タイ)などを舞台に演奏をしているので、世界遺産とはかなり前から関わっています。
僕の音楽活動の礎となっている雅楽は、中国大陸から日本に伝わって千年以上の伝統を持つ音楽です。当時のままのものとしては日本にしか残されていないことから、ユネスコも注目している「無形遺産」に値するもの。だから「カタチのない遺産」と、「カタチのある遺産」が出会うことで、どちらもかけがえのないものであるというメッセージを伝えることができるんじゃないかとごく自然に思うようになり、世界遺産を舞台に演奏をするようになりました。
また僕は海外に住んでいたときの経験から、まだ日本人に知られていないような素晴らしいものが世界にたくさんあることを知っています。多くの方にコンサートに参加してもらってその素晴らしさに触れてほしいという思いもあるんです。
そういった意味で「世界遺産コンサート」は伝統的な雅楽に関わる人間としての僕と、国際的な背景をもつ僕とが重なりあう場所だといえるでしょうね。
―― 世界遺産でコンサートをされることの魅力とは?
世界遺産は、現代の人間がいくら工夫しても演出できない素晴らしい力を持っていると感じます。すぐに思い浮かぶのは2003年にカンボジアの世界遺産「アンコールワット」で演奏した時です。天候はあいにくの雨でしたが、僕の演奏が始まったときに雨が一瞬あがり背景に稲妻が光ったんです。まさに奇跡のような演出です。建造物ももちろんですが、その場の空気や自然現象が、「場」の力を作り上げている。そういう力さえも感じてしまうのも、世界遺産なのでしょうね。
世界遺産を舞台にコンサートできることに誉れを感じると同時に、雅楽の素晴らしさも再認識させてもらっています。よく僕の演奏を聞いた外国人から「なぜか懐かしい気がした」という感想をいただきますが、考えてみると雅楽は、洋の東西を結んだシルクロードを伝わってきたもの。東洋的であると同時に西洋的でもあり、グローバルな魅力を持っている。もっといえば、人間がさまざまな文化を「東洋的」「西洋的」とカテゴライズする以前に生まれたものであり、人間の魂そのものを揺れ動かす力を持っているのです。だから場所も時空も越えられる。その普遍性は、世界遺産に通じると思います。
ウズベキスタンの「文化交差路サマルカンド」。
そこで日常を営む人々の表情をパチリ。
「パン、おいしかったんですよ!」
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