城之内 ミサさん
世界遺産トーチランコンサートで畏敬の念を伝えたい
ユネスコのメッセンジャーとして“畏れ敬う"気持ちを音楽に託す。
―― 「ユネスコ平和芸術家」として、国内外で「世界遺産トーチランコンサート」の主席上演者として活躍しています。同コンサートについて教えてください。
「世界遺産トーチランコンサート」の名づけ親は14歳の少女です。2000年にカナダ・トロントでコンサートをした際、終演後にトロント在住の少女が楽屋を訪れ「文化や宗教、言葉を超えて、ミサさんの音楽は世界中の人の心に平和な気持ちで満たしてくれる。私が感じたことを世界中の人に分けてほしい。聖火リレーのように、さまざまな国や地域で、その国の奏者とミサさんの作曲した音楽を奏で続けてほしい」という言葉をいただき、この名称を決めました。
「世界遺産×コンサート」というと、「世界遺産でのコンサート」と捉える方も多いかと思うのですが、このコンサートは少し違います。もちろん、世界遺産で開催させていただいたこともありますが、世界遺産での開催にはこだわっていません。私はこのコンサートで「世界遺産の美しさやすばらしさ」以上に「世界遺産保全の精神=思い」を伝えることができればと思っています。
―― このコンサートで伝えたい思いとは?
一言で表すと「畏敬の念」でしょうか。地球儀を傍らに置き、いろんな場所や歴史に思いを馳せながら曲作りをするとき、地球にはさまざまな歴史があり、人の思いや叡智があり、人の力の及ばない地球の営みがあるのだということをしばしば実感します。私自身は本当にちっぽけな存在なのに、それらを辿らせていただいていること自体に大きな「畏れ」のようなものを感じるのです。また私の曲を聴いてくださる方には、私が想像もつかない風景などを想起される方もいらっしゃるようですから、そうした聴衆の方への畏敬の念も抱いています。
他者との違いを受け入れて敬うことや、地球や人類の営みを畏れる気持ちなどは、ユネスコの目指す「心の平和」の礎となり世界遺産保全にも結びつくのではないでしょうか。世界遺産に観光に訪れた方が、遺産に落書きをしたという哀しいニュースを聞くたびに、畏れの思いがあれば防げたはずだと思うのです。少しでもこのようなことがなくなってほしいという思いをこめて、曲を作り、コンサートを実施しています。
私が言っていることは本当に草の根的なことですが、多くの方が「世界遺産を守る」ことは決して難しいことではないと思います。コンサートを聴いていただいて、今隣の席に座っている人を思いやったり、周りにある草木を大切にしたりするような小さなことからであっても、大きなことにつながっていくのではないでしょうか。
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