世界遺産アカデミーユネスコスクール
世界遺産検定

世界遺産学習に取り組むユネスコスクール事例

世界遺産学習に取り組むユネスコスクールの事例をインタビューしました。

「世界遺産」という視点があったからこそ、いろんな角度からアプローチできたと思います

「世界遺産」という視点があったからこそ、いろんな角度からアプローチできたと思います

ユネスコスクールの加盟校として実践している、ESD視点からの世界遺産学習について教えてください。

済美小学校では以前から、学校の近くにある素材を使って世界遺産を学習してきました。ですから、ユネスコスクールへの参加を決めた後も特別新しいカリキュラムをつくるのではなく、今までの指導をESD教育の視点で再構築することにしたんです。

奈良市教育委員会は、2008年に小5~中3生を対象とした副読本「奈良大好き世界遺産学習」を発行。市内の全5年生を対象に市内の世界遺産をバスで巡る校外学習を実施しています。当校ではそれに合わせて4~5回の事前学習を実施し、バス見学会の後、3時限かけてまとめを行っています。2学期には春日山原始林に入って、世界遺産を守っている保安員さんのお話を聞きました。

841年以来、原始の姿が変わらずに残されているのは、雨の日も風の日もパトロールしている保安員の活動のおかげだと知った子どもたちは大変驚いていました。そして「守ろうという人々の意志と行動がなければ、自然も歴史遺産も守れない」と感じ取ってくれたと思います。 6年生も引き続き、歴史学習に力を入れています。

ユネスコスクールに参加してよかったことは何ですか?

「世界遺産」という視点があったからこそ、いろんな角度からアプローチできたと思います
「世界遺産アカデミーの『はじめて学ぶ世界遺産100』はガイドブック的で見やすいですね。6年生にはちょうどいい教材になりそうです」(大西浩明先生)

子どもたちが実際に街を歩いて「自分たちの近くにはこんなにもたくさんの文化財があるんだ」と気づいてくれたことですね。

教科書に載っている歴史の舞台がすぐ近くにあることに感動する一方で、世界遺産でも国宝でもない小さなお寺が、歴史的にはとても重要な意味を持っていることに気づく。身近な財産を知ることで、自分の住む地域に誇りと愛着を持つことができたのではないでしょうか。

子どもたちの変化を強く感じたのは「南都八景」の調査を行ったときです。江戸中期、一大観光地となった奈良でガイドブック的な役割を果たしたのが「南都八景」。東大寺の鐘など残っている風景がありますが、佐保川の蛍のように見られなくなったものもあります。それらがなぜ残り、なぜなくなったのかを調べることから出発しました。そして、自分たちが未来に残したい『美しい奈良』の風景を見つけ、「新南都八景」として発表しようということになったんです。

816人の大人(20歳以上の人)に子どもたちがアンケートをとったところ、175カ所もの項目が見つかりました。上位30カ所の中からみんなで話し合った結果、「新南都八景」が決定したんです。

こうした活動が保護者にも影響を与え、学校評価アンケートでも「済美や奈良の街が好きになりました」という声が増えたのはうれしかったですね。

これからはやってみたいことは何ですか?

「世界遺産」という視点があったからこそ、いろんな角度からアプローチできたと思います

とくに壮大なことを考えているわけではないんです。済美小学校に通ってる子にこの学校や奈良を好きになってほしい。それが一番の願いです。

世界遺産というと社会科と結びつけがちですが、社会科のみではこれほどの幅広い学習はできなかったと思います。国語では千年を超える建造物を支える宮大工さんのことを学びましたし、図工では仏像を描く時間を設けています。音楽では奈良のわらべ歌を歌い、家庭科では郷土料理をつくったりしています。

世界遺産という切り口があったからこそ、地域の題材をいろんな角度から扱えたのだと思います。 今後の課題の1つとして、小中の連携があると思います。小学校での学びを土台に中学校でどんな学習をしていくか。内容が重複しないよう、小学校同士のつながりも重要ですね。系統だった教育を展開できるようにしたい。中学校では小学校とはまたちがった学習ができるのではないでしょうか。

世界遺産学習として、まだまだやりたいことはいっぱい。子どもたちとともに、いろんなことに挑戦していきたいですね。

(2010年5月現在)

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