世界遺産検定 著名人インタビュー

世界遺産検定 城之内 ミサさん インタビュー

ユネスコのメッセンジャーとして"畏れ敬う"気持ちを音楽に託す

―― 「ユネスコ平和芸術家」として、国内外で「世界遺産トーチランコンサート」の主席上演者として活躍しています。同コンサートについて教えてください。

ベネズエラはカラカスでの2005年7月23日のコンサートでのショット
ベネズエラはカラカスでの2005年7月23日のコンサートでのショット

 「世界遺産トーチランコンサート」の名づけ親は14歳の少女です。2000年にカナダ・トロントでコンサートをした際、終演後にトロント在住の少女が楽屋を訪れ「文化や宗教、言葉を超えて、ミサさんの音楽は世界中の人の心に平和な気持ちで満たしてくれる。私が感じたことを世界中の人に分けてほしい。聖火リレーのように、さまざまな国や地域で、その国の奏者とミサさんの作曲した音楽を奏で続けてほしい」という言葉をいただき、この名称を決めました。

 「世界遺産×コンサート」というと、「世界遺産でのコンサート」と捉える方も多いかと思うのですが、このコンサートは少し違います。もちろん、世界遺産で開催させていただいたこともありますが、世界遺産での開催にはこだわっていません。私はこのコンサートで「世界遺産の美しさやすばらしさ」以上に「世界遺産保全の精神=思い」を伝えることができればと思っています。

―― このコンサートで伝えたい思いとは?

2007年5月31日フランス.パリのサン.ジェルマン.デ.プレ教会で行われた世界遺産条約35周年記念の世界遺産トーチランコンサート
2007年5月31日フランス.パリのサン.ジェルマン.デ.プレ教会で行われた世界遺産条約35周年記念の世界遺産トーチランコンサート

 一言で表すと「畏敬の念」でしょうか。地球儀を傍らに置き、いろんな場所や歴史に思いを馳せながら曲作りをするとき、地球にはさまざまな歴史があり、人の思いや叡智があり、人の力の及ばない地球の営みがあるのだということをしばしば実感します。私自身は本当にちっぽけな存在なのに、それらを辿らせていただいていること自体に大きな「畏れ」のようなものを感じるのです。また私の曲を聴いてくださる方には、私が想像もつかない風景などを想起される方もいらっしゃるようですから、そうした聴衆の方への畏敬の念も抱いています。

 他者との違いを受け入れて敬うことや、地球や人類の営みを畏れる気持ちなどは、ユネスコの目指す「心の平和」の礎となり世界遺産保全にも結びつくのではないでしょうか。世界遺産に観光に訪れた方が、遺産に落書きをしたという哀しいニュースを聞くたびに、畏れの思いがあれば防げたはずだと思うのです。少しでもこのようなことがなくなってほしいという思いをこめて、曲を作り、コンサートを実施しています。

 私が言っていることは本当に草の根的なことですが、多くの方が「世界遺産を守る」ことは決して難しいことではないと思います。コンサートを聴いていただいて、今隣の席に座っている人を思いやったり、周りにある草木を大切にしたりするような小さなことからであっても、大きなことにつながっていくのではないでしょうか。

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大成功を収めたパリのユネスコ本部のコンサート

―― 去る09年11月にパリのユネスコ本部で「世界遺産トーチランコンサート」を開催されました。いかがでしたか?

2009年11月12日に行われたユネスコ本部での世界遺産トーチランコンサートでの1ショット
2009年11月12日に行われたユネスコ本部での世界遺産トーチランコンサートでの1ショット

 緊張しましたが共演者の方々やスタッフのおかげで、多いに盛り上がりました。ユネスコ事務局長の松浦さんもラストにステージに上がって頂き、このコンサートを讃えてくださいました。そして、世界遺産センター長のフランチェスコ・バンダリンさんはリハーサルから立ち会ってくださいました。本番では冒頭に素晴らしいスピーチをいただき、私をステージに呼び込んでくださいました。皆様にはとても感謝していますし、本当に光栄に思います。

 このコンサートは3部構成で、1部は、世界遺産へのいざないという形での楽曲演奏、2部では、ユネスコの保有している世界遺産写真の映像と音楽をシンクロさせ、遺産への旅を想起していただけるようなアプローチをしました。そして3部では、篠笛といった古典的な楽器や人の声という「無形なる遺産」の素晴らしさと「畏敬の念」をこめて作りました。

 音楽の源は、神、高次なるものに畏れを込めて祈りを捧げたことであり、これは洋の東西を越えて共通しているのだと改めて思いました。無形遺産に力を入れてこられた松浦さんのご共感もいただき、とても光栄でした。聴衆客から「人が生きた証に何かを成し遂げたいという思いが世界遺産の根底に流れているのだと感じた」と感想をいただいたときは、バンダリンさんと「思いが伝わった」と喜び合い、思わず涙がでました。思いを音楽に託して、さらに世界各地で伝えていきたいと改めて思いました。

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世界遺産検定の学びを通じて、世界遺産の精神や遺産に込められた人間の思いに心を馳せて欲しい

―― 世界遺産検定については、どうお思いですか?

 「知る」ことは、保全の第一歩ですよね。世界遺産の精神や各遺産の背景を「知る」ことで、世界の広さを感じ、人の営み、思い、自然のすごさへの「畏敬の思い」が開かれると思います。それにこうしたことを学ぶ時間そのものが「癒し」ですよね。日常でちょっとイヤなことがあっても、違う時代や違う国に思いを馳せることで癒されるとも思います。私も時間ができれば、ぜひ挑戦したいですね。

―― 世界遺産検定に興味関心を感じておられる方にメッセージを。

ユネスコ本部での世界遺産トーチランコンサート。このコンサートは松浦事務局長の退官式でもあった
同じくユネスコ本部での世界遺産トーチランコンサート。このコンサートは松浦事務局長の退官式でもあった

 単なるクイズ的な知識というところにとどまらず、世界遺産の精神であったり、遺産ひとつひとつに込められた人間の思いにも目を向けて、取り組んで欲しいと思います。またこの検定は中高生という若い世代にもオススメではないでしょうか。検定への挑戦がきっかけで、「世界遺産を訪れたい」「研究したい」など、新たな可能性や夢がみつかる検定だと思います。

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城之内 ミサさんプロフィール

城之内 ミサさんプロフィール

東邦音楽短大音楽学部作曲楽理専攻在学中より人気テレビドラマ、CM、映画などの映像音楽の作編曲等プロの活動を始めアルバムデビュー。フランスにて作曲家ジャン・クロード・プティ氏に師事。88年より現在まで国立パリ・オペラ座、国立パリ管弦楽団等共演のアルバムを制作、93年ブザンソン国際指揮者コンクール出場。オリジナル楽曲のアルバムは欧米諸国でチャート上位にランクインし、2000年より「城之内ミサ・世界遺産トーチランコンサート(国連機関ユネスコ本部とパートナーシップ事業締結)で、各国でのコンサートを実施。2009年には興福寺『阿修羅展』にてVR映像の音楽を担当、2010平城遷都1300年記念祝典でのコンサートなど、活動は多岐に渡る。ニューアルバム『追遠~Spiritual discovery』は2010年春に全米を皮切りに世界発売となる。

『世界遺産トーチランコンサート』はNPO World Heritage Torch-Run Concertが運営しています。このNPOはフランスを本部に置く非営利団体として世界各国で活動し、ユネスコ本部と唯一、パートナーシップ締結をしています。このコンサートはユネスコ本部直結の公式コンサートとして、ユネスコ本部と共同プロジェクトのもと、ユネスコの取り組み全般、そして世界遺産保護継承を城之内ミサ氏の音楽・活動に託しています。

世界遺産トーチランコンサート http://wh-trc.org/

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