


認定級マイスター/プラチナ/
シルバー
佐滝 剛弘さん(40代)
職業:マスコミ
―― ジャーナリストとして、世界遺産についてどのように伝えたいと思いますか?
テレビ番組を作るなら、その世界遺産のどこに価値があるのかに重点を置いたものにしたいですね。個別の遺産の紹介ではなく、ジャンルまたは時系列で切り口を変えて広範囲の世界遺産を比較してみたいです。例えば木造教会の世界遺産は、僕がとても好きなポーランドの「ヤヴォルとシフィドニツァの平和教会」をはじめ、ロシア、ノルウェー、スロバキアなど石の文化圏と思われているヨーロッパに国境を越えて広がっています。これらは違うものだけれど、文化的には強いつながりがある。それらを俯瞰して見るスケールの大きい番組が作りたいですね
どうしても伝えたいのは、文化の多様性がとても大切なこと、文化間には差異はあっても優劣はなく、違うからこそ素晴らしいということ。これは世界遺産の根底概念だと思いますし、そうやって知らない国に美しく価値のあるものを見つけることは、平和と環境を守ることにつながっていくでしょう。
世界遺産は、栄枯盛衰を恐ろしいまでに表す、ある意味残酷なものです。かつて世界一の神殿だった場所が崩れ去り、いまは祈る人とていない。栄華を誇った都はジャングルの中。我々もそうした遺産と同じように「歴史上の一点」に過ぎないことを思い知らされます。でもそれは逆にいまの価値観がずっと続くわけじゃない、どれほどマイナーな文化に思えても永い時が経てば価値は一緒と気づかせてくれるということでもあるんです。
―― 世界遺産検定でマイスターを受検してみていかがでしたか?
マイスターに認定されてよかったことのひとつは、対外的に「世界遺産への知見がある」ということを伝えるのに、以前ほど困らなくなったことでしょうか。それまでは世界遺産の講演をするときなどに「世界遺産が好きで、200件ほど自分の目で見ています」と説明していたのですが、いまは資格のおかげで「世界遺産を好きなだけでなく、ある程度系統だって知っている人」だと捉えてもらえます。
これまで、事前の下調べを十分したうえで世界遺産を訪れ、その都度出会った感動や、自分なりに理解した意義を大切に持ち帰ってきているつもりなので、特に受検のための勉強といえるようなことはしませんでした。シルバーを受けるときは公式テキストを見て、行っていない遺産の概要を覚えたりしましたが、マイスター試験では、求められるのは知識よりも普段から世界遺産の課題をどう感じ、考えているかを記述する力だと思います
一生懸命調べて、海外であっても地図と首っ引きで自分で運転してたどり着き、背景を理解して実物の前に立つのが最高の勉強法だと思っています。家族や職場の同僚の理解があってこそなんですけどね(笑)