

世界遺産を学ぶことは
「旅のプロフェッショナル」
として成長するための“土壌”につながる
株式会社ジャルパック
人事総務部 人材教育グループ長
竹花 伸枝氏
―― 御社では人材教育に世界遺産検定を取り入れるため、ガイダンスなども開催されておられますが、まずは、人材教育についての基本的な考え方などを教えてください。
当社は、日本航空グループの海外旅行ホールセール会社です。1964年に日本で初めての海外旅行パッケージブランド「ジャルパック」を発売して以来、安全・安心を大前提とした商品の「品質」に強くこだわってきました。そして、その品質を生み出すのは、そこで働く「人」であると考えています。
当社の商品は、カタチのないものであり、手にとって品質を確かめていただくことができません。旅の選定、手配から添乗、アフターケアなど、お客様が当社と触れ合う中で、“体験”していただくしかないのです。こうした体験を生み出すのは、言うまでもなく、「人」。まさに、当社にとって、「人材」は、「人財」なんですね。だから、社員の成長こそが、当社の成長の原動力になるというのが、人事施策の基本であり、そんな考えのもと、教育・育成に力を入れています。
―― 力を入れておられる人材教育の一環として世界遺産検定を取り入れた背景、理由は?
メディアでの紹介などを契機に、世界遺産をめぐる旅が人気を博しているのはご承知の通りだと思います。当社で企画するツアーでも世界遺産を見学するプランが組み込まれているものは数多く、しかも、ヨーロッパ、アジア、オセアニアなどなど、さまざまなエリアに渡っています。
さらに注目すべきは、世界遺産の人気が、ここ数年で一過性のブームの時期を過ぎ、確実に定着かつ成熟してきているということ。すなわち、お客様のニーズが「世界遺産にとりあえず行く」というところから、それぞれの遺産の背景を含めた「物語」を体感したいというところに進化してきていると思います。この傾向は、リピーター層を中心にますます進むのではないでしょうか。こうしたお客様のニーズを先取りし、期待以上の充実感をご提供するには、世界遺産に関する体系だった知識が必要だと思います。
―― 人材教育に携わってこられた竹花さんの目からみて、世界遺産検定のカリキュラムとしての魅力は?
当社は、限定された地域ではなく世界各地への旅をプロデュースしている企業ですので、全世界にある世界遺産について幅広く学べるという点においても、教育素材として非常に有益だと感じています。
さらには、段階的に学べ、ひとつのバーをクリアしたら、より高いグレードに挑戦でき、旅行業界の認定資格である「世界遺産スペシャリスト」なども目指せるシステムになっているので、継続的に学ぶモチベーションを高められるという点も魅力ですね。
―― 高校・大学時代から世界遺産検定に挑戦しようと思っている方もいらっしゃいますが、そういった人材を御社の「人財」として採用する意欲はありますか?
もちろんです。採用にあたっては総合的な判断が必要ですので、検定の合格や資格の取得などを採用の条件として定めてはいませんが、検定に挑戦したいという方の興味のありどころや学ぶ意欲が当社にとって望ましいものであることは確かですね。
また、そういう方に対しては、当社の企業理念を共有していただける方ではないかという期待も持っています。当社の企業理念の一つに「旅を通じて国際交流と親善を促進する」というものがあります。国際交流には、「モノの交流」「人の交流」「情報の交流」という段階がありますが、その究極の段階が、「文化の交流」ではないでしょうか。交流は、いうまでもなく、「知ること」から始まります。その意味において、それぞれに固有でかけがえのない世界各地の文化を深く知ることができる検定への挑戦は、当社の理念を共有し実践できる人材である可能性のひとつの表れだという見方ができるのではないかと思います。
―― 今後、御社の人材育成計画にどういう形で世界遺産検定を取り入れるのか、その方向性などを教えてください。
これから体制を整えていく予定ですが、強制ではなく、社員それぞれの意欲を喚起し、サポートするような方向で進めていきたいと思っています。言い換えれば、キャリアや部門などに関わらず、自発的に挑戦するというモチベーションを盛り上げていきたいですね。
といいますのも、世界遺産検定で学べる内容は、「この仕事をするために必要」といった「業務知識」としての側面と同時に「教養」「哲学」とでもいうべき性格もあり、それだけに普遍性があると思うからです。実際、スタッフ部門で働いている私も、ガイダンスに参加し世界遺産のその成立の背景などを教えていただきますと、改めて自らの姿勢を見つめなおしたいという思いがわいてきます。こういった思いを深めていくことこそが、旅行業界にいる者、そこを目指していらっしゃる方の成長の土壌になるのではないでしょうか。それぞれの方が「自らを高めたい」という意欲のもとで挑戦していただきたいと思いますし、そのための環境を整えていくつもりです。
―― 最後に、世界遺産検定に興味を感じていらっしゃる社員、及び、御社への入社を希望されている方などにメッセージを。
当社では、社員に「プロフェッショナル」として成長して欲しいと考えており、そのサポートに力を入れています。「プロ」の定義は様々ですが、ひとつは、お客様、ひいては、社会のニーズや課題を察知し、それに対して期待を超える何かを提供できることだと思います。自然環境を含めた人類共通の財産を守っていこうという社会的意識の高まりの中で、世界遺産を学ぶことは、旅のプロとして何ができるのかを追求するための基盤を育てることになるのではないでしょうか。ぜひとも、プロを目指している方、プロとしてより高みを目指す方の双方に、継続的な学びの機会として活用していただきたいですね。
―― 受講されていかがでしたか。
今回のガイダンスで世界遺産の設立の経緯、選定の基準などを学んだのですが、恥ずかしながら、知らないことも多く、とても勉強になりました。私が担当しているヨーロッパのツアーでも世界遺産見学を組み込んだ企画が数多くありますが、今後は、それぞれの遺産の魅力の本質をお伝えし、新たな切り口の旅をご提案していく必要があるでしょう。そのためには、体系だった知識が必要だと痛感!世界遺産にまつわる裏話も楽しく、学びの時間を作って検定にも挑戦したいと思っています。