

旅行業を志す人にとって
意義のある検定を職種などの
差異を超えて「全社的取り組み」に
株式会社JTB首都圏
法人営業品川支店 業務課長
山中 章弘氏
―― 御社は’09年より人材教育の一環として取り入れられました。サポート体制及び受検の状況などをお話しください。
サポート体制に関しては、JTB首都圏として検定合格者に対する受検料の全額負担を決めています。受検の状況は、私自身が検定に強い関心を抱いていたこともあり、’09年6月度の検定で当時業務課長を務めていた、湘南藤沢支店及び周辺の支店を含め20名が挑戦することになり、ガイダンスも実施しました。私はこのとき2級に合格しました。その後、業務課長の交流の場などを利用して世界遺産の知識の必要性や検定の意義などをお話させていただいたところ、’09年11月度の検定では、銀座、新宿の支店などの社員が受検しました。
これらの支店は個人のお客様に対する提案を担っているのですが、私自身が部署を異動し“伝道”(笑)したこともあり、’10年7月の検定では、法人向けの提案を行っている法人営業品川支店でも8名の社員が自発的に受検。私も1級に挑戦し、見事に認定をいただきました。この受検が個人向け、法人向けという形態の違いを超え、世界遺産検定への取り組みを全社的なものへ広げていける契機のひとつになるのではないかと期待しています。
―― 世界遺産検定受検を「全社的な取り組み」に広げていこうとされている背景は?
世界遺産への関心は個人のお客様、特に熟年・ゆとり世代の方を中心に非常に高いものがあります。そのため社員たちは「お客様が持っていらっしゃるレベル以上の深い知識」を「実務知識」として必要としている。検定での学びが役立つことは、言うまでもありません。
一方で私は仕事内容に関わらず、JTBグループの「人財育成」という側面から、世界遺産検定の学びは意義のあるものだと考えています。「快適で豊かな旅」というカタチのないものを提供する旅行業は、「人」が最大の経営資源。まさに「人の成長=企業の成長」なのです。特に、予約などの定型的な業務がインターネットを通じて簡単に行えるようになった今、求められていることは「付加価値」を自律的に創造できる力です。それを踏まえJTBグループでは「自律創造型社員の実現」という基本方針を掲げ、社員の自発的な学習と成長を促進する施策をとっています。その施策の一環として世界遺産検定は適した素材だと思います。自分が受検した経験を通して、この検定は単に知識を「覚える」というところにとどまらず、学ぶ者に「自らで気づき、発見する」という経験を与えてくれると実感しているからです。
今回、法人営業品川支店の社員が自発的に受検をしたことは「自ら成長したい」という意欲の現われであり、検定がそうした意欲に応えうる内容であるからだと思います。組織のマネジメントを担う者として、また“せかけんの社内伝道者”(笑)として、嬉しく感じています。
―― 御社をはじめ、旅行業に従事する、あるいは従事したいと思う方にとって、世界遺産検定を学ぶことの意義は?
JTBグループの経営理念は「平和で心豊かな社会の実現に貢献する」であり、世界遺産条約を決議したユネスコの理念である「人々の心の中に平和のとりでを築く」という精神と重なり合います。ですから世界遺産検定の挑戦は、JTBグループの理念を自身の中に定着させることができると思うのです。
また私自身検定に挑戦してみて、世界遺産が語りかけてくるものは歴史のみではないということを実感しました。世界遺産は、地球や人類が脈々と培ってきたものの象徴であり、私たちはそれを後世へと引き継いでいく義務を負っています。ただ、「観光」が及ぼす影響はプラス・マイナスの双方がある。ですから、旅行に従事する者は世界遺産の意味をしっかりと理解し、観光と保全の関係性を自分たちの今日的課題として捉え、知恵を出し合ってよりよいものにしていかなければならないと思います。世界遺産を学ぶことは、自身の仕事の「意義」や「社会的役割」を見つめる上でも役立つのです。
仕事の現場では、さまざまな壁にもぶつかりますが、そうした壁を乗り越えていくには高い視点で自身の仕事の意義を捉えていることが大切。旅行業を志す方にも、世界遺産検定を活用していただきたいですね。