稲垣 滋子さん

稲垣 滋子さん

認定級 3級

稲垣 滋子 さん

歴史や背景を知ることで、世界遺産と自分との距離が近くなる

―― 検定に興味をもったきっかけは?

 2015年4月にピースボートに乗船した際、(世界遺産アカデミー認定講師の)片岡英夫さんの講演「世界遺産の不思議と魅力」(全8回)を聞きました。それがとても楽しかったんです。「モナ・リザ」と「最後の晩餐」ではどちらが世界遺産に登録されているか、世界で一番小さい大陸と大きい島ではどちらのほうが大きいかといった具合に進めてくださり、興味をかきたてられました。

 それまで世界遺産検定の存在も知らなかったのですが、先生の豊富なコンテンツを使ったお話が面白く、何よりそこで配布される資料が欲しくて(笑)、2級の検定対策講座にも顔を出しました。ただ2級はやはり難しく、当時は受検するつもりはなかったのです。

―― 2015年9月検定で3級を取得されていますが、受検の動機と受けてみての感想を教えてください。

 帰国後、ピースボートで購入した、2級のテキストをめくりながら、これまで訪れた世界遺産の数を数えていたんです。そのとき片岡さんが言っていた「3級からでもいいんですよ」という言葉が蘇ってきて、よし受けてみよう、と。3級に挑戦する旨を先生にメールで伝えたところ「試験と思わずに、旅行に行くつもりで勉強するといいですよ」とアドバイスをいただき、自分が旅をするなら何について調べるか、自分がガイドだったらどう説明するかというスタンスで、楽しく勉強することができました。自分の世界がどんどん広がっていくようで新鮮でした。新しい情報を知るたびに、いちいち感激してしまっていたのですが、感激しているだけでは点数には結びつきません(笑)。テキストを何度も読み、ノートを作って対策としました。高齢になっても、これまでの体験を振り返りながら勉強し、検定を受けられるということは新たな発見でした。これからも上を目指したいと思います。

2015年12月検定では2級を受検。「遺産名や遺産の情報は地図やノートに書き込むことで視覚化しました。勉強道具はあえて目の付く場所に置いておき、自分にプレッシャーをかけるようにしていました」

―― 世界遺産検定を受けて良かったと思うことはなんですか。

 3級のテキストでは、日本の世界遺産のページに見開きで関連性のある世界遺産を紹介しています。世界遺産は独立したひとつの点ではなく、それぞれが関連性を持っていることを教えられました。訪れたことのある世界遺産も、その歴史や背景を知ることで、その場所が実際に地球上に存在していることを再認識しました。その地が息づいていることを実感することで、自分とその場所が近くなったように思うんです。

 これから行きたい場所もたくさんあります。オーストラリアの「カカドゥ国立公園」の壁画はぜひ見てみたいですし、ノルウェーから黒海まで10か国にわたる「シュトルーヴェの測地弧」にも興味があります。スイスのレーティッシュ鉄道のアルブラ線とベルニナ線に関しては、今、旅行会社とやりとりしている最中です。もともと旅行は好きでしたが、大変な世界に入り込んでしまいました(笑)。

2017年のピースボートにも乗船する予定だと話す稲垣さん。「知識を得た、新たな目で世界遺産を見たいと思っています」

(2016年1月)