■ 研究員ブログ216 ■ 第47回世界遺産委員会⑨:世界遺産は1,248件に!

今日は天気予報で32℃まで気温が上がるとあったので少し心配していたのですが、朝、通りに出た時は涼しい風が吹いていました。乾燥しているから朝晩は本当に過ごしやすいです。

今日も引き続き新規登録に向けた審議が行われます。昨日までに文化遺産が終わったので、今日は複合遺産と自然遺産です。

※遺産名は仮訳です。

まず最初は複合遺産で、北朝鮮の『金剛山:海からのダイヤモンド・マウンテン』です。遺産名は直訳するとよくわからないですが、「ダイヤモンド・マウンテン」というのは「金剛山」を指すそうです。「海からそびえたっている金剛山」というような意味でしょうか。ここは文化的景観でICOMOSからもIUCNからも構成資産を2件減らして登録勧告が出ていましたが、修正案もなく、そのまま構成資産2件で、登録基準(iii)(vii)で登録決議となりました。登録基準(viii)は認められませんでした。写真を見た感じ、とても懐かしい感じがする美しい遺産でした。

次は、シエラレオネの『ゴラ・ティワイ複合地域』です。2つの保護地域からなるこの遺産は、IUCNから登録勧告が出されており、修正もなかったことから、そのまま登録基準(ix)(x)で登録が決議されました。

次は、モザンビークと南アフリカの『イシマンガリソ湿地公園とマプト国立公園』です。今回は南アフリカの「イシマンガリソ湿地公園」の登録範囲拡大として、モザンビークから「マプト国立公園」が推薦され、審議されました。IUCNからは承認の勧告だったこともあり、審議の末に範囲拡大が認められ、遺産名が『イシマンガリソ湿地公園とマプト国立公園』となりました。マプト国立公園の範囲内で水深の深いテコバニネ港の開発が続いていることから、2026年12月1日までに状況を報告書し、第49回の世界遺産委員会(2027年)で審議されることになりました。

次は、ギニア・ビサウの『ビジャゴス諸島の沿岸・海洋生態系:オマティ・ミンオ』です。ここもIUCNから登録勧告が出されていたため、修正案もなく、そのまま登録基準(ix)(x)で登録決議となりました。

次は、モンゴルの「東部モンゴルの草原」です。ここは遺産内での採掘などが問題となり、IUCNから登録延期勧告が出されていましたが、採掘は止まっていることなどもあり、カザフスタンから情報照会への修正案が出され、そのまま情報照会で決議されました。

次は、ヴェトナムとラオスの『フォン・ニャ-ケ・バン国立公園とヒン・ナム・ノ国立公園』です。ここもヴェトナムの「フォン・ニャ-ケ・バン国立公園」の登録範囲拡大として、ラオスから「ヒン・ナム・ノ国立公園」が推薦され、審議されました。IUCNからは承認の勧告が出されており、そのまま修正案もなく登録決議となりました。遺産名は『フォン・ニャ-ケ・バン国立公園とヒン・ナム・ノ国立公園』になりました。

次は、デンマークの『ムンス・クリント』です。ここは完全性などに課題があるとしてIUCNから情報照会勧告が出されていました。ベルギーなどの修正案を基に審議が行われ、資産の拡大範囲の適切な保護の説明を提出することを条件に、登録基準(viii)で登録決議となりました。

そして最後が、ブラジルの『ペルアス川渓谷』です。ここは先住民シャクリアバの権利地域とプロパティ、バッファーゾーンが重なっており、現在も司法の判断を待っているところなので、IUCNからは情報照会勧告が出されていました。しかし、レバノンなどの修正案に沿って審議され、2027年12月1日までに報告書を提出し、第50回世界遺産委員会(2028年)で審議することで合意し、登録基準(vii)(viii)で登録決議となりました。

これで新規登録に関する審議がすべて終わりました。

その後は、登録範囲の軽微な変更に関する審議が行われました。認められた遺産と認められなかった遺産を書くと長いので、今回は省略します。

ここでいくつかの議題を経てから、今回の世界遺産委員会での世界遺産リストと危機遺産リストのアップデートの報告があったのですが、ここで僕の誤解が発覚しました。

今回、新たに26件の世界遺産が誕生しました。ここまではその通りなのですが、合計の遺産数が1,248件になっていたのです。つまり、今回追加された遺産は25件です。

どういうことかと思ってよく見ると、『パナマの植民地時代の地峡横断ルート』の登録は『パナマ・ビエホ考古遺跡とパナマの歴史地区』との統合を伴う、と書かれていました。つまり、この2つの遺産は2重登録で2つの別の遺産なのではなく、『パナマの植民地時代の地峡横断ルート』に統合されたということだったのです。「シャンボール城」と『ロワール渓谷:シュリー・シュル・ロワールからシャロンヌまで』みたいな感じですね。でもそれが決議の修正案で決まったりするんですね。ICOMOSは両方を1つの遺産としてアドヴァイザリー・ミッションをしていたみたいですが、推薦書をよく読んでいないのでよくわからない流れでした。誤った情報を流してしまい、すみません。

ということで、今回の世界遺産委員会を経て、遺産数は以下のようになりました。

総遺産数:1,248件
文化遺産:21件
複合遺産:1件
自然遺産:4件

今日の最後はキャパシティ・ビルディングに関する説明と各国のコメントがあって、終わりました。明日は、「14 Juillet(フランス革命記念日)」で、ようやくお休みです。

会場を出ると19時前だというのに、強い日差しで暑かったです。革命記念日ではさまざまなイベントがパリで行われるので、エッフェル塔の近くまで歩くと多くの観光客で溢れていました。

※修正
本当にすみません! 『パナマの植民地時代の地峡横断ルート』に統合されたのは『パナマ・ビエホ考古遺跡とパナマの歴史地区』の方でした。ですので『パナマ・ビエホ考古遺跡とパナマの歴史地区』という遺産は、遺産名としてはなくなります。
一方で推薦書には、『パナマの植民地時代の地峡横断ルート』に『パナマのカリブ海側の要塞群:ポルトベロとサン・ロレンツォ』の「サン・ロレンツォ要塞」が含まれていたたため、審議の中で両方出てきており遺産名がこんがらがってしまいました。前日のブログでは正しくパナマ・ビエホの方で書けていたのですが。
因みにこのように、審議の中で遺産が統合されるのは初めての事例のようです。

(2025.07.13、パリ)
(2025.07.15修正)