■ 研究員ブログ217 ■ 第47回世界遺産委員会⑩:来年は釜山で世界遺産委員会です!

昨日は「14 Juillet」で審議がなかったので、今日が実質的に最後の審議が行われる日です。新規登録など重要な審議が終わったこともまり、会場は人も少なく、静かな雰囲気でした。もちろん委員国はしっかりいますが、それ以外の締約国は1人くらいしか残っていない国もあり、空席も目立ちます。今回は会場がパリに変更になったため、普段からパリで仕事をしている各国の代表も多く、他の仕事などを優先することもあるのかもしれません。委員国以外は発言の機会もあまりないですし。

今日もいくつかの議題が進められ、どんどん進んでいくかと思ったら、全体の保全状況報告についてのところで資金と人的資源の問題や気候変動の問題、遺産保有国が制御できない状況(ウクライナが侵攻されている状況など)に対して状況分析を行い専門家の派遣を検討することなどで議論が長引きました。また最初に、韓国が明治日本の産業革命遺産の件を取り上げ、遺産の解釈の問題も提起しました。

次のアップストリーム・プロセスの議題では、アップストリーム・プロセスは締約国の暫定リストの作成や改訂のところで用いられることや、アップストリーム・プロセスは任意のプロセスで資金は自国負担のため、そこに予算をつけられないかなどで、これまた議論が長引きます。

今回の世界遺産委員会は、細かいところまでこだわり合意に時間がかかる印象があります。インドやレバノン、トルコなどが積極的に発言をして印象に残りました。

その後も定期報告やオープンエンド・ワーキング・グループ、キャパシティ・ビルディングの議題などが続き、予算の話に入った時は、すでに終了時間を過ぎていました。

資金が足りないため、分担拠出金をすでに支払っている国にも任意で追加の拠出金を出してもらえるように検討することや、2024年から2025年の世界遺産基金は6,555,587USDになることなどが報告され、審議を経て決議されました。

そして、いよいよ次の世界遺産委員会の議長国の選任です。ここでは議長から韓国の名前が挙げられ、全会一致で承認されました。

2026年の世界遺産委員会は、7月19日から29日の期間で、韓国の釜山で開催されます。映像で釜山を紹介する映像が流れましたが、新しい街と伝統が共存する魅力的な街のようですね。

副議長国も地域グループごとに推薦され、承認されるという手続きで、トルコ、ウクライナ、ジャマイカ、セネガル、レバノンに決まりました。任期は、今回の第47回世界遺産委員会の最後から第48回世界遺産委員会までになります。

また現在のビューロー会議の議長であるブルガリアのニコライ・ネノフ博士と、書記であるルワンダのジョエル・ブキャナンさんの任期は、2025年11月にユネスコで開催される第20回臨時会合までになります。まだまだお仕事があるんですね。本当に大変な役職です。

最後に国際援助の拠出に関する説明と第48回世界遺産委員会の議題に関する説明などがあり、どちらも決議されて終了しました。

長かった世界遺産委員会もいよいよ明日で終わりです。なんだか寂しいですね。

釜山を紹介する動画が流れました。

(2025.07.15、パリ)