第62回世界遺産検定の申込みが始まっています。今回のメインビジュアルはウズベキスタンの世界遺産『文化交差路サマルカンド』です。美しい青色のタイルが特徴的なイスラム建築が数多く立ち並ぶ遺産です。今回はウズベキスタンの観光大使としても活躍中の俳優・タレントの南圭介さん(世界遺産検定マイスター)の特別インタビューとともに、世界遺産サマルカンドの魅力をお伝えします。
サマルカンドの歴史をまずは見ていきましょう。サマルカンドはウズベキスタンの東部に位置する古都です。シルク・ロードのほぼ中心に位置し、東西交通の要衝として栄えました。「サマル」は“人々が出会う”、「カンド」は“街”という意味があり、世界各地の文化が交錯する「文化交差路」でした。サマルカンドは13世紀初頭にホラズム・シャー朝の首都となりましたが、その後、モンゴル帝国のチンギス・ハンによって破壊されました。
14世紀にサマルカンドを再興させたのが、ティムール朝創始者のティムールです。ティムールによってサマルカンドに今も残る、レギスタン広場を中心に壮麗なモスクやマドラサが数多く築かれました。イスラム建築のタイルに使われている色は、青・白・黄・赤・黒・茶の6色ですが、ティムールが青を好んだことから、サマルカンドのタイルは青の割合が多いのが特徴です。青のタイルやモザイクと、青い空が調和した街の美しさから「青の都」と言われます。
繁栄を極めたサマルカンドも、16世紀初頭のティムール朝の崩壊や、シルク・ロードの重要性の低下などにより衰退。中央アジアの文化・経済の中心の地位をブハラに譲りました。
さて、ここから南圭介さんのインタビューです。南さんは2024年からウズベキスタンの観光大使を務めています。サマルカンドには2024年4月に「朝だ!生です旅サラダ」(テレビ朝日系列)のロケで初めて訪れました。「レギスタン広場やシャーヒ・ズィンダ廟群など、写真や映像で見ていた世界観がまさに目の前に広がり、ブルーとイスラム建築の美しい光景に興奮し、グッと体温が上昇した感覚を今でも覚えています。サマルカンドブルーに魅せられた瞬間でした」とその第一印象を語ります。
南さんはサマルカンドの建物の中でも、14世紀から15世紀にかけて建てられたシャーヒ・ズィンダ廟群がとくにお勧めだそうです。「シャーヒ・ズィンダ廟群は是非訪れて欲しいスポットです。青に包まれる幻想的な感覚は、あの場所でしか感じる事が出来ないものだと思います。さらにメッカと同じくらい巡礼の重要な場所とされていて、パワースポットとも言われています。また、中央アジア最大規模のビビハニムモスクも圧巻でした。中庭には緑もあり、まさに青い空と、緑と、イスラム建築は、ウズベキスタンの国旗を表すような美しいコントラストでした。しかもこの最大規模のモスクは、わずか5年で作り上げられたと言われており、当時の勢いがどういうものだったのか想像力が掻き立てられ、とてもわくわくしました」。
サマルカンドの特徴である青のタイルも現地を訪れたらじっくり見て欲しいと、南さんは言います。「レギスタン広場では俯瞰で、シャーヒ・ズィンダ廟群では近くでブルーとイスラム建築の美しさを感じる事が出来ました。ブルーを基調としたモザイクとマジョリカのタイルが連なっている姿がとても美しかったです。また長い年月残っているタイルと、修復されているタイルの青の濃さの違いなど、歴史的なグラデーションが美しいと思いました。よく見るとアラビア文字も書かれていたり、色々な文化が交差していた事に思いを馳せる事が出来ました」。
世界遺産には“人類共通の遺産”を次世代に伝えていく目的があります。サマルカンドの歴史的な遺産を残していくために、南さんが必要だと感じていることはあるのでしょうか?
「建築や外観の美しさはもちろんですが、共に築きあげられてきた文化も沢山の方々に知ってもらう事が大切だと思います。その為には多くの言語に対応したガイドも必要かもしれません。先日訪れた時はレギスタン広場でコンサートが開かれるというタイミングで、初めて訪れた方には景観が少し残念だったかもしれませんが、コンサートに参加し携わった方々は、その場所でしか出来ない特別な体験を日常の中で感じる事で、より世界遺産を身近に感じる事が出来たのかもしれないとも思いました。大いなる歴史の中で輝いてきた世界遺産を尊ぶ気持ちと、寄り添い合うバランスがとても大事かもしれませんね」。
文化交差路サマルカンド
登録基準:(i)(ii)(iv)
登録年:2001年登録
登録区分:文化遺産