櫻井 勇太郎さん/大学生

認定級 マイスター

櫻井 勇太郎さん

関西大学文学部

世界遺産は調べるうちにその先へとどんどん興味がつながっていく

―― まず最初に世界遺産検定をご存知になったきっかけと、受検の経緯を教えてください。

 大分昔の話なのではっきりとは覚えていないんですが、元から僕が地理や世界史などに興味があったので、確か母に紹介してもらったような気がします。中学校の1~2年生ぐらいですかね。中学のうちに受検しようかなとも思ったんですが、高校受験もあったので先延ばしにして、高校1年のときに2級を受けたのが初受検です。

小学生のときに家族と行った姫路城。「昔から社会科の授業も好きでした。」

―― 高校1年生でいきなり2級というのはすごいですね。そこから1級、マイスターとどのようにステップアップしていったのでしょうか。

 1級を受けたのは2級に合格したちょうど1年後ですね。まだテキストが2巻本のときです。その間、少しずつ勉強はしていましたがずっとみっちりというわけではなく、検定の数カ月前から本格的にやり始めました。

 その後、関西大学への進学が決まり、世界遺産学という授業で認定講師の方と知り合って、マイスターを受検するかどうか迷っていたのですが、「どうせなら取っちゃえば?」と背中を押されて受検することに決めました。

―― 試験に向けてはどんな勉強をしましたか。2級、1級、マイスターとそれぞれ違ったと思いますが。

 2級のときは、1級のテキストと比べるとまだ薄いので、まずはさらっと重要単語を重点的に読み込みました。ただ、その時点でもう1級も受けようと思っていたので、先に1級のテキストも買って読んでいました。

 1級の勉強はやはり大変でしたが、勉強法は2級のときとあまり変わらなくて、1ページずつしっかり読む感じです。ノートに書くのは苦手なので、重要単語を叩き込んで、流れをつかむだけでいいと思いました。日本の遺産と基礎知識は配点が高いので、そこは重点的にやりました。電車通学だったので、その時間を活用してテキストを読み込んでいました。

 マイスターについては最初何をやればいいかわからなかったので、大学で認定講師に勉強法についてアドバイスをもらいました。問1と2は暗記でなんとかなる部分はありますが、問3の1,200字論述は一番難しいと思います。何度か練習をして臨みました。世界遺産の知識はほかの詳しい人に比べるとまだまだな部分がありますが、元々文章を書くのが得意だったのはアドバンテージになったと思います。1級を受けたのが高校2年生で、そこから大分期間が空いていたので、増えた世界遺産の知識を埋めるために3巻になった1級の新しいテキストも買って頭に入れました。

―― 世界遺産を学んでいて、特に印象的だった遺産や出来事はありますか。

 僕は負の遺産に関心があります。有名なところだとアウシュヴィッツ・ビルケナウなどはもちろんですが、ほかには例えばボスニア・ヘルツェゴビナの「モスタル旧市街」。最初は景観の美しさに惹かれたのですが、調べるうちにボスニア内戦やユーゴスラビアの歴史へと興味がつながっていきました。アフガニスタンの「バーミヤン渓谷」も、破壊された経緯や、仏教とイスラームの関係、偶像崇拝禁止の歴史などを知ると面白いです。アフガニスタンの地理的な特徴や、タリバンの動きなど、現代史ともつながっていて興味深いですね。

 最近登場した「記憶の場」も気になります。アルゼンチンの軍事独裁政権に関するものとか(※)。高校世界史ではあまり出てこない分野なので新鮮でした。

※編集部注:「ESMA 博物館と記憶の場:拘禁と拷問、虐殺のかつての機密拠点」

モスタル旧市街の石橋と周辺(ボスニア・ヘルツェゴビナ/2005年登録/文化遺産)
©Boris Stroujko/AdobeStock

―― 世界遺産の知識が日常生活で役立っていることはありますか。これから行ってみたいところも教えてください。

 誰かと旅行するときに、「ここ世界遺産だよ」って話せますし、海外の人と話すときも、その国の世界遺産を知っていると会話が弾みます。ネットでつながる時代なので、日常生活ではあまり馴染みのない国の人とも話題が作れるのはいいですね。

 以前に屋久島に行ったとき、自然の美しさに感動したので、もっと日本の自然遺産を見てみたいです。次は知床か白神山地に行きたいですね。大学では山登りサークルに入っていて、先日富士山に登る予定だったのが残念ながら台風で中止になってしまったので、富士山もまたチャレンジしたいですね。

「屋久島では本当に植生が垂直に分布していて興味深かったです。」

―― 今後の夢や、将来の進路希望など差し支えのない範囲でお聞かせください。

 まだ1回生なので進路について具体的には決まっていませんが、認定講師の資格は取りたいと思っています。世界遺産の知識を何かに活かせたらいいなと思っています。

 今のところ留学は考えていませんが、色々な国には行ってみたいです。興味があるのはドゥブロヴニクがあるクロアチア、英語も学べるフィリピン…。それからスペインですね。スペイン語を大学で取っているので、現地で話してみたいです。

 世界遺産は知ること自体が楽しいんです。人生を豊かにしてくれるし、人類に必要なことだと思います。

(2025年9月)