2026年 8月『バイエルン王ルートヴィヒ2世の宮殿群:ノイシュヴァンシュタイン城、リンダーホーフ城、シャッヘン城、ヘレンキームゼー城』

ノイシュヴァンシュタイン城

ルートヴィヒ2世が築いたロマンあふれる宮殿群

 第66回世界遺産検定の申し込みが開始されました。今回のメインビジュアルは2025年に登録されたばかりの『バイエルン王ルートヴィヒ2世の宮殿群:ノイシュヴァンシュタイン城、リンダーホーフ城、シャッヘン城、ヘレンキームゼー城』の「ノイシュヴァンシュタイン城」です。1864年から1886年にかけての在位期間中にルートヴィヒ2世が築いた、ドイツ・バイエルン州の高山地帯に位置する4つの宮殿が、シリアル・サイトとして登録されました。

ノイシュヴァンシュタイン城
第66回世界遺産検定のメインビジュアルは「ノイシュヴァンシュタイン城」

 バイエルン王ルートヴィヒ2世は若い頃から作曲家リヒャルト・ワーグナーのオペラに魅了され、1864年に第4代バイエルン王に即位すると、国費を使ってワーグナーを援助します。ワーグナーが自分の作品の上演を目的として計画した「バイロイト祝祭劇場」も、ルートヴィヒ2世の支援で築かれます。

 王家の血筋に生まれながら、音楽や戯曲、建築などの芸術を愛好し、数々のロマンあふれる城を建てたルートヴィヒ2世、40歳の若さにして亡くなります。死の直前には精神病と診断され、郊外の城に幽閉され、その直後に近くの湖で謎の死を遂げました。その数奇な人生は数々の映画や小説、ミュージカル作品の題材にもなっています。

バイエルン王ルートヴィヒ2世
芸術を愛好したバイエルン王ルートヴィヒ2世

 構成資産を見ていきましょう。「リンダーホーフ城」はルートヴィヒ2世が唯一完成を見ることができた宮殿です。その設計は、ロココ様式などを参考にしています。宮殿前には、金色の女神と天使の像が置かれた噴水池があります。こちらの噴水は30メートルの高さまで水を噴き上げます。宮殿の背後にある人工の鍾乳洞「ヴィーナスの洞窟」は、カプリ島の「青の洞窟」と、ワーグナーの1845年のオペラ『タンホイザー』の舞台装置から着想を得たものです。

リンダーホーフ城
フランスの影響を受けて築かれた「リンダーホーフ城」

 「シャッヘン城」は1869年から1872年にかけて建設された山岳離宮です。外観を見ると素朴な木造建築で、「宮殿」というより「山小屋」という方がしっくりくるかもしれません。1階も簡素な山小屋風のつくりです。しかし、2階は18世紀後半にオスマン帝国のスルタン・セリム3世が築いた宮殿をモデルにしたと伝えられている豪華な「トルコの間」が設けられています。のどかな山小屋風の雰囲気ががらりと変わるその“差”に驚きます。

シャッヘン城
外観は山小屋風な「シャッヘン城」

 「ヘレンキームゼー城」はルイ14世、ルイ15世時代のヴェルサイユ宮殿をモデルとしています。同じように「鏡の間」が築かれていたり、庭の噴水にはヴェルサイユとそっくりなネプチューンの像があります。本家のヴェルサイユと同等、もしくはそれ以上に豪華絢爛なつくりで、ルートヴィヒ2世にとって最大かつ最も費用のかかった事業でした。

ヘレンキームゼー城
ヴェルサイユ宮殿を模した「ヘレンキームゼー城」

ノイシュヴァンシュタイン城と築かれなかったもう1つの城

 白い外壁と尖塔が印象的な「ノイシュヴァンシュタイン城」は、ルートヴィヒ2世が残した建築の中でも、とくによく知られています。その理由は、ディズニーランドの城のモデルとなったからでしょう。東京ディズニーランドのシンデレラ城に関しては、モデルとなった城は諸説あるようですが、1955年に世界で最初に開業したカリフォルニアのディズニーランドの眠れる森の美女の城は、公式ホームページに「バイエルン州のノイシュヴァンシュタイン城にインスピレーションを得て作られた」と出ています。

眠れる森の美女の城
「ノイシュヴァンシュタイン城」に着想を得て築かれた眠れる森の美女の城

 ディズニーランドの城のモデルとなり、世界的に有名になった「ノイシュヴァンシュタイン城」ですが、ルートヴィヒ2世の命を受けてデザインしたのは、クリスチャン・ヤンクという人物でした。彼はもともと舞台装置や美術を手がける画家でした。ワーグナーのオペラ『ローエングリン』の背景画なども手掛けていた関係で、ルートヴィヒ2世の目にとまり、「ノイシュヴァンシュタイン城」のデザインを任されることになりました。

ノイシュヴァンシュタイン城
クリスチャン・ヤンクが描いた「ノイシュヴァンシュタイン城」のコンセプト

 そして、ルートヴィヒ2世はヤンクにもう1つ城をデザインするように命じていました。それが「ファルケンシュタイン城」です。「ファルケンシュタイン城」は、ドイツのプフロンテンにある中世盛期の城跡で、標高1,268mというドイツで最も高い場所にある城跡です。ルートヴィヒ2世はここにも城を築くことを計画し、1883年にヤンクにスケッチを描かせました。

ファルケンシュタイン城
クリスチャン・ヤンクが描いた「ファルケンシュタイン城」のコンセプト

 「ファルケンシュタイン城」は建設場所までの道が建設されたましたが、資金不足のためそれ以上建設計画は進みませんでした。1886年にルートヴィヒ2世が亡くなると、建設計画は中止されました。もし「ファルケンシュタイン城」が完成していたら、ルートヴィヒ2世の宮殿の1つとして、世界遺産に登録されていたかもしれません。歴史に「もしも」はありませんが、空想してみると面白いかもしれません。

バイエルン王ルートヴィヒ2世の宮殿群:ノイシュヴァンシュタイン城、リンダーホーフ城、シャッヘン城、ヘレンキームゼー城
登録基準:(iv)
登録年:2025年登録
登録区分:文化遺産

例題

Q1. 「ノイシュヴァンシュタイン城」があるのは、どの国でしょうか? (4級レベル)
  1. ドイツ連邦共和国
  2. アメリカ合衆国
  3. ロシア連邦
  4. メキシコ合衆国
Q2. 「ノイシュヴァンシュタイン城」を築いた人物は? (3級レベル)
  1. ナポレオン3世
  2. イヴァン3世
  3. ルートヴィヒ2世
  4. フェリペ2世
Q3. 「ノイシュヴァンシュタイン城」とともに1つの世界遺産として登録されている城として正しくないものは? (2級レベル)
  1. リンダーホーフ城
  2. シャッヘン城
  3. ヘレンキームゼー城 
  4. リトミシュル城