解説
ロシア北部の伝統家屋(イズバ)の暖炉は、暖房だけでなく、かまどや物置、風呂(サウナ)としての機能をもっていました。暖かい暖炉の上は寝床としても利用されました。
ケノゼロ湖周辺のイズバは煙突をもたない黒い暖炉を備えており、部屋の仕切りがなく、煙が家屋全体を暖める仕組みとなっていました。20世紀初頭までに複数の仕切りをもつイズバが登場しました。
ロシア北西部のケノゼルスキー国立公園にある『ケノゼロ湖の文化的景観』は、フィン・ウゴル語派の先住民の文化と、12世紀に移住してきたスラヴ人の農耕文化が融合して発展した、農村の生活様式を伝える世界遺産です。
湖や川、森、野原といった美しい自然景観の中に、伝統的な木造建築が立つ農村集落が数多く残っています。木造教会や礼拝堂には、ドーム内部に「天国」を表現した天井画が描かれており、地域の社会的、文化的、視覚的象徴となっています。