解説
2019年公開の映画『ミッドサマー』には、ヘルシングランドのホルガ村という実在する地名が出てきます。ただし、この映画のロケ自体はハンガリー共和国で行われており、劇中で行われる祝祭「ミッドサマー」も、実際に行われる夏至祭とは全く異なる、架空の祝祭となっています。
『ヘルシングランドの装飾された農夫の家』は、スウェーデン東部ヘルシングランドに18~19世紀にかけて、森林開拓や亜麻の栽培で富を得た農民たちによって建てられたものです。針葉樹林タイガの景観が広がるのどかな地域に建てられたこれらの木造家屋は、室内をバロックやロココ、グスタヴィアン様式の融合した絵画で豪華に装飾されており、特別な行事の時にだけ使用される祝祭用の部屋もありました。
このような家屋は、建築と民俗芸術の伝統が独自の様式で結びついたもので、北西ヨーロッパに深く根付いた民俗文化が、最終的に花開いたものであると考えられています。