解説
シタデルは、ハイチ独立後の防衛拠点として、標高970mのラ・フェリエール山頂に建設された巨大な山岳要塞です。フランス軍の侵攻を想定し、要塞内には兵舎や大砲のほか、パン工場や貯水槽、倉庫などが備えられていました。実際にフランス軍が攻めてくることはなく、使用されないまま終わりました。
ハイチ共和国の『ハイチの国立歴史公園:シタデル、サン・スーシ宮、ラミエ地区』には、ハイチの独立に関連するシタデル(城塞)とサン・スーシ宮が残されています。
17世紀末からフランスの植民地となったハイチは、奴隷解放を経て1804年に独立します。独立運動の指導者を倒して権力を握った黒人将軍アンリ・クリストフは、その権威の象徴として、フランスのヴェルサイユ宮殿を模したサン・スーシ宮を建設しました。宮殿には、ポツダムやウィーンのものを彷彿とさせる階段状の庭園もありました。現在はどちらも廃墟ですが、ハイチ有数の名所となっています。