解説
グレートピレニーズは、白いふわふわの毛が特徴的な大型犬です。穏やかな性格で、ピレネー山脈周辺の放牧文化の中で、牧羊犬や番犬として活躍してきたため「ピレニーズ」と名前がつきました。17世紀頃にフランスの宮廷で飼育されたことをきっかけに、注目を集めたと言われています。
スペインとフランスにまたがる『ピレネー山脈のペルデュ山』周辺は、標高3,352mの山岳地帯で、何世紀にもわたり移牧が行われてきました。冬は山のふもとへ、夏は高地へと家畜を移動させるこの伝統的な放牧風景は「文化的景観」として評価されています。
また、この場所はイベリアプレートと西ヨーロッパプレートの衝突地点にあり、スペイン側とフランス側で地形や植生が大きく異なります。このような地質学的価値や自然景観もあわせて文化・自然両方の価値が認められ、複合遺産として世界遺産に登録されています。