解説
タン・ロン皇城では20基以上の井戸が確認されていますが、その中には飲料水を供給するためではない、直径がきわめて小さい井戸もありました。ベトナムでは古くから井戸の位置に風水的な配慮がなされてきており、この井戸も風水的な意味を持つと考えられています。
『ハノイにあるタン・ロン皇城遺跡の中心地』は、11世紀に李王朝により建設された皇城です。タン・ロンは「昇龍」を意味し、当時のハノイの地名でもありました。
タン・ロン皇城は、紅河デルタを埋め立てた干拓地に、7世紀に中国が建造した要塞の跡を基盤として築かれ、19世紀まで都として政治の中心地であり続けました。フランス植民地時代や独立戦争、ベトナム再統一といった、ベトナムの歴史とも深く関連づいた遺産です。
タン・ロン皇城の建物と周辺に広がるホアンディウ考古遺跡には、北からの中国文化と南からのチャンパー王国文化が融合した独特の文化がよく表れています。