解説
「テフ」はエチオピア原産のイネ科の植物です。1世紀前後に成立したアクスム王国では、大麦・小麦・モロコシなどと並んで栽培されていたことが分かっています。テフを粉にして水と混ぜ、発酵させて薄く焼いた生地が「インジェラ」で、アクスム王国の後に興ったエチオピア帝国の時代に人々に広まりました。
エチオピア北部の高地に位置する『アクスムの考古遺跡』は、1世紀前後から8世紀まで続いたアクスム王国の遺跡です。王国はアフリカ、アラビア、古代ギリシャ・ローマを結ぶ交差点に位置し、ビザンツ帝国やペルシア帝国とも対峙しながら発展しました。4世紀半ばにスーダンとの象牙貿易で栄え、紅海貿易を支配するまでに成長しましたが、7世紀以降はイスラム勢力の拡大によって衰退しました。
また、4世紀にはキリスト教を受容し、教会が建てられました。その教会には、モーセの十戒を刻んだ石版を納めた「契約の箱(アーク)」があると信じられています。