解説
紀元前1世紀頃、ローマ帝国初代皇帝アウグストゥスの時代に建造されたオランジュのローマ劇場には、かつて舞台を覆う木造の屋根があり、劇場全体も天幕で覆われていました。また両脇の3層からなる建物は大小の部屋に区切られて楽屋になっており、舞台下には幕を下ろしたと考えられる何本もの溝が発見されています。
オランジュのローマ劇場は、観客を約1万人収容できる巨大なもので、舞台の幅は100mを超えます。舞台背面には約37mの装飾壁があり、その中央からはアウグストゥスの大理石像が舞台を見下ろしています。ここでは毎年夏、1869年から続くオランジュ音楽祭(コレジー・ドランジュ)が開催されており、世界で最も古い音楽祭のひとつとして愛されています。