認定級 2級・3級
伊藤 博さん
大正4年生まれ。日本製鉄(現・新日鉄)勤務。 有料老人ホーム『フローレンスケア横浜森の台』入居
2011年7月の検定で、96歳の伊藤博さんが2級に合格しました。 これは過去の受検者・合格者の最高齢です。 横浜の有料老人ホーム『フローレンスケア横浜森の台』に伊藤さんを訪ね、3級を一緒に受検した職員の矢野真由美さんと共にお話をうかがいました。
──2級合格、おめでとうございます。伊藤さんが3級に挑戦されたのは95歳のときですね。受検のきっかけは何だったのですか?
伊藤 何にもすることがなくて、暇だったからです(笑)。矢野さんに何かしたいと相談したところ、すすめられた中に世界遺産検定がありました。
矢野 伊藤さんはとても元気で好奇心が旺盛で勉強家でいらっしゃるので、漢字検定や英語検定、ご当地検定などいろいろな検定のご案内をしたんです。その中で唯一興味を抱かれたのが世界遺産検定でした。
伊藤 だって、漢字検定も英語検定もできちゃうんだもの、つまらないと思った(笑)。それに比べると世界遺産は僕の知らないことばかり。その時宗教に関心があり、世界遺産は歴史や地理、サイエンスなどに加え宗教もかかわっていたので、これは面白そうだととびついたわけです。
──受検勉強はどのようにされましたか?
伊藤 「テキストを読む」「過去問を解く」「できない所を調べる」の繰り返しです。「勉強」という意識はまったくありませんでした。知らなかったことを知ることが嬉しくて、いつも「ああ、そうだったのか、ためになるなぁ」と楽しみながら続けました。検定を受けることを知った周りの方が、「こんどテレビで世界遺産の番組やるよ」などと教えてくれたので、それも楽しんで見ていました。
矢野 伊藤さんとは顔を合わせると「どこまでやった?」と話をしたりクイズを出し合ったりしていました。あと、マークシートの練習ですね。マスを埋めるのは慣れない作業だったので、しっかり埋められるように定規を使ってみたり、色々工夫しながら練習しました。伊藤さんは過去問を解く時は時間を計っていらっしゃいましたね。最初は60分では解けず76分かかっていたのが、次第に時間内に解けるようになっていきました。高齢の方は「文章を読む」というのがネックになりがちなのですが、伊藤さんはテキストもボロボロになるくらい読んでいらっしゃいましたので、健康管理を行なう職員達も大変でした。
伊藤 そうそう、1人だったら受けなかったね。仲間がいたから励みになりました。それと、ここで受けられたのがとても良かった。(試験会場の)横浜まではとても自分では行けませんから。
矢野 団体受検は5名以上でないと実施できません。入居者の受検希望者は伊藤さんだけでしたが、ぜひ実現していただきたいと思い、職員や家族を誘って最初は8名、2回目は5名で受検しました。
──行ってみたい世界遺産はありますか?
伊藤 全部です(笑)。独身時代も家庭を持ってからも、日本国内外、財産はすべて旅につぎこむくらい旅が好きでしたから。実際に行くのは体力がおいつかないけれど、自然遺産について読むと地質や温泉のことなどが上手に解説されていて、その場所を訪れたような気持ちになって楽しめました。
──1級へのチャレンジはいかがですか?
伊藤 過去問題をやってみたけど、問題数が多くてちょっと大変ですね。断片的な知識を問うよりも、もっと理念的な内容を出題したほうがいいと思いますが、さて、どうでしょう?(笑)