解説
「ウルネス様式」とは龍とも蛇とも言われる動物と植物の蔓が絡み合った彫刻装飾で、11世紀以前のヴァイキングの伝統要素に由来する装飾様式です。この装飾の意味については多くの説が考えられており、キリスト教的な意味合いがあるとも、ユグドラシルやドラゴンと関連した北欧神話の意味合いがあるともいわれています。
『ウルネスの木造教会』は12世紀前半に建造されたノルウェー最古の木造教会です。この教会は釘を使用せず木材のみで組み上げられており、ヴァイキング船に通じる技術が随所に見られます。水はけをよくするために急勾配をもった杮葺きの屋根も特徴的です。
11世紀にノルウェーにキリスト教が広まると教会建築が進み、石造ではなくスカンジナビア伝統の木造建築で建てられました。中世にはこの地域に約1,300棟もの木造教会が建てられましたが、現存するのは28棟のみです。その中でも『ウルネスの木造教会』は、この地域の木造教会の最高傑作とされています。