認定級 2級
イダマルゴダ バヌカさん
駐日スリランカ大使館
―― まずは簡単にご経歴をお伺いできますでしょうか。
イダマルゴダ バヌカと申します。両親はスリランカ出身ですが、私は岐阜県生まれ、岐阜県育ちです。
大学は東京外国語大学に進学し、その後、東京大学大学院へ進みました。現在は博士後期課程に在籍していて、スリランカの近現代史、主に19世紀以降の歴史を研究しています。
博士論文を執筆しながらではあるのですが、今は少し大学を休み、駐日スリランカ大使館で勤務しています。もともとスリランカ大使館主催のイベントに参加するなどのつながりがあり、大使館側でちょうど人手が必要になったタイミングでオファーをいただきました。そのほかに英語や世界史などの講師として教育関係の仕事もしており、東京外国語大学では公開講座で、スリランカの公用語であるシンハラ語の授業も担当しています。
―― 世界遺産検定をご存知になったきっかけと受検までの経緯を教えてください。
小さい頃から歴史が大好きで、入口は日本の歴史、特に戦国時代だったのですが、高校に入って世界史の授業が始まると世界に興味が広がっていきました。大学4年生のとき、InstagramかFacebookだったと思うのですが、SNSで流れてきた広告を見たのが世界遺産検定を知ったきっかけですね。
受検したのはちょうどコロナ禍の2020年7月でした。大学もオンライン中心になっていた時期で、自宅で過ごす時間が増えていたので、その期間に集中して勉強しましたね。私はテキストを読むだけではなかなか頭に入らないタイプなので、ノートにまとめながら勉強しました。それぞれの遺産ごとに要点を書き出して整理し、オレンジ色のペンで書いて、シートで隠しながら覚える方法を使っていました。あとはやはり過去問題を使った演習ですね。
「世界遺産検定の存在を知ったあとはあまり迷うことなく、すぐに挑戦してみようという気持ちになって、最初から2級を申し込みました。」
―― 元々、歴史には造詣が深かったかとは思いますが、特に世界遺産を学んでみて印象的だったことはありますか。
世界遺産検定の勉強を始めてまずうれしかったのは、スリランカの世界遺産が掲載されていたことです。当時の2級テキストではシーギリヤとスリランカ中央高地が掲載されていて、限られた掲載数の中で、自分にルーツのある国の世界遺産が二つも紹介されていたのは、とてもうれしかったですね。
印象に残っている遺産はゴレ島です。奴隷貿易の歴史について、教科書的には「アフリカから奴隷が送られた」とか「奴隷がプランテーションに従事していた」という事実だけしか出てこないことが多いと思うのですが、実際にその舞台となった場所を詳しく知ることで、臨場感や生々しさが出てきて、当時の状況をより具体的に想像できますよね。単なる歴史的事実を知る以上のインパクトがありました。
「学校の教科書とは違う切り口で、世界遺産を題材として深掘りをすることで、視点を変えて歴史を学べるのが面白かったポイントです。」
―― スリランカの世界遺産で特におすすめしたい場所をお聞きしたいです!
定番はやはりシーギリヤですね。北部のアヌラーダプラやポロンナルワなどと一気にパッケージでまわるプランもあるのですが、個人的には南部に位置する『ゴールの旧市街とその要塞』をすごく推しています。
ゴールはポルトガル、オランダ、イギリスと次々と支配者が変わっていった場所で、スリランカがインド洋の要衝であったことを物語る遺産です。歴史的価値があるのはもちろんですが、とにかく景色が素晴らしいんです。城壁から眺めるインド洋のサンセットが本当に美しくて、歴史ある街並みと合わせて楽しめます。
高速道路の整備によってコロンボから行きやすくなり、バスも通っているので日帰りでも訪問できる距離になっています。
「一昨年、私も友人を連れて要塞内のホテルに泊まって街を満喫してきました。」
―― 世界遺産で学んだ知識は、大使館でのお勤めに活かされていますか。
大使館ではスリランカ文化を紹介するセミナーを開催しており、私はシンハラ語、英語、日本語が使えることもあって、通訳や質疑応答のファシリテートを担当することがよくあります。世界遺産はスリランカ文化を紹介するうえで主要トピックのひとつで、切り口としてもわかりやすいテーマなので、検定を通じて学んだ知識が役立っています。
また、国際交流イベントなどで他国の方々と交流する機会も多いのですが、その国の世界遺産や歴史の話を切り出すと、とても喜んでもらえます。相手の国のことを知っているということは、コミュニケーションの大きなきっかけになりますよね。特に世界遺産に関する話題は、人と人をつなぐ入口として非常に有効だと思います。
単に「行ったことがある」「知っている」というだけではなく、その場所にある歴史やストーリーまで理解していると、より深い会話ができます。相手の国の歴史や文化に関心を持ち、少し踏み込んだ話をすると、一気に距離が縮まると感じています。これは外交の場でも、日常的な国際交流の場でも共通していると思います。
―― 今後の抱負と、これから世界遺産検定を受検される方へのメッセージをお願いします。
私は教育活動や文化発信など、幸いにも人に何かを伝える機会が比較的多い環境にいます。特に文化遺産は歴史の舞台となった場所でもありますので、世界遺産を切り口に歴史の面白さや、その土地の魅力を伝えていけたらと思っています。博士論文を書き終えた暁には、研究職というところも模索していますし、教育に関する仕事は変わらず続けていきたいなと思っています。
これから世界遺産検定を受検される皆さんは、テキストを手に取るとわかると思いますが、とても読みやすく、勉強しやすくまとまっています。ボリュームに惑わされず、ガイドブックを読むような感覚で気負わずに勉強すると楽しんで取り組めると思います。
「私自身も知識をさらに広げたいですね。ちょうど世界遺産検定には準1級が新設されましたし、1級よりはハードルが低いのかなと思っていますので、博士論文を書き終えたら挑戦したいと思っています。」
(2026年7月)