第29回 peppeさん

世界遺産との出会いは必然 世界に思いを馳せることが音楽活動の夢にもつながっていく

第29回 peppeさん ミュージシャン

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小学生の頃の夢は航空管制官

―― 2018年にメジャーデビューした、4人組のバンド、緑黄色社会。“リョクシャカ”の愛称で親しまれている同バンドで、キーボードを担当しているpeppeさんは、2019年7月に、世界遺産検定1級を取得したことを発表しています。検定を取得しようと思ったのはどうしてですか。

 世界とつながっていたいという気持ちはずっと持っていました。飛行機が大好きな父に連れられ子どもの頃からよく空港に出かけていて、小学生のときの夢は航空管制官。旅行パンフレットを持ち帰ってきて、「今回はどちらに行かれますか」なんて、妹と旅行代理店ごっこをして遊んだりもしていました。
 検定について知ったのは、尊敬してやまない、俳優の鈴木亮平さんがきっかけです。周囲に世界遺産検定を取得している人はほとんどいなくて、よしこれだ!と思いまずは2級から取得しました。

勉強を始める時にこのHPのインタビューはすべて目を通しました。いつか自分も出てみたいと思っていたから、まさかの!

―― 1級の受検勉強はどのように進めましたか。

 大学生の時に2級を取得した後、すぐに1級のテキストを買ったのですが、覚えなければいけないことの量に圧倒されてしまって、すぐに受検対策というよりは、もっと総合的にいろいろな知識をつけないとと思ったんです。でも2019年5月くらいだったでしょうか、突然神のお告げのような感覚を得て(笑)、直近の7月検定で受検することを決意し、メンバーにも「やる!」と宣言しました。
 絶対に一度で合格したかったので、必死で効率的な勉強法を考えました。ライブの移動中やレコーディングの合間にひたすらテキストを読みこみ、6回分の過去問を解き、パソコンでオリジナル“まとめ“を作りました。まずは公式テキスト上巻をしっかり仕上げてから下巻にと考えたのですが、下巻のヨーロッパ地域の世界遺産の多さに苦戦しました。
 また古代文明の遺跡がこれほどまで存在することにも驚きました。中東地域など、国際ニュースではテロや紛争の話題が多くなりがちな国にもすばらしい世界遺産があることを知り、むしろ行ってみたいと思えたり、その国のイメージががらりと変わることも。

受検準備の間は音楽と勉強だけの毎日でした。ただ、好きなことだったので苦ではなく、むしろすごく楽しかったですね。

音楽も世界遺産も、世界の共通言語

―― 世界遺産を学んで何か変化はありますか。

 1級取得後も、常に意識は世界へ向いています。「今日はこの国」とテーマを決めて動画を見ることを日々のルーティンにしていて、感じた印象をスマホにメモしているんです。Google Mapを見るのも大好きで、調べた世界遺産や行ってみたい場所をピン付けしたらエライことになってしまいました(笑)。
 またフィリピン人の英会話の先生と「コルディリェーラの棚田群」や「バロック様式の教会群」(いずれもフィリピンの世界遺産)について話し、ひとつ話題ができたりもしました。

 誰もが知っている場所も、ただ有名な観光地として知っているわけでなく、「世界遺産」として知ることで、自分も人類の普遍的な宝物である世界遺産を守るメンバーの一員なんだって思えるようになりました。1級に合格したことで、よりその意識というか自信がついたように思います。

音楽や英語のように、世界遺産も世界の共通言語のひとつ。そういったことに触れている時間に歓びを感じるのかも。

―― 実際に足を運んでみて、印象に残っている世界遺産はありますか。

 姫路城は、お城そのものももちろんすばらしかったのですが、城内を案内してくれたガイドさんのお話がとてもおもしろくて。戦に勝つための工夫などわかりやすく解説してくださり、そういったところも含め、さすが世界遺産!と感じたりもしました。
 バンドのライブで広島に行ったときには、メンバーと一緒に厳島神社に行きました。実際に行ってみると、テキストには書かれていない新しい発見がたくさんあります。島に渡るフェリーに乗っているときの感覚とか、こんなにたくさん鹿がいるんだとか、そういった発見がとても楽しくて。

ここには載せられませんが、姫路城では鈴木亮平さんと同じポーズで撮った写真も…(笑)

―― 自由に旅ができるようになったら行ってみたいところはありますか。

 屋久島ですね。ひと月のうちほとんどが雨、その日のコンディション次第ということや、頂上までたどり着く大変さをよく耳にしますが、それも含めて冒険心をくすぐられます。自然の生き生きとした鼓動を体感してみたい。
 海外ならスイス! ステイホーム期間中に見た韓国ドラマ『愛の不時着』にスイスでのシーンがあるんです。ヨーロッパ一標高の高い駅ユングフラウヨッホから見る景色を実際に目にし、マッターホルンの草むらに寝転んでみたらどんな風に感じるのかなあって。

新たなインスピレーションを大切に、海外進出への想い強く

―― 本当に旅がお好きなんだと伝わってきます。音楽活動への影響は何かありますか。

 旅に行ってその土地の空気に触れると、いつもとは違うインスピレーションが湧いてきませんか? 以前ロサンゼルスに滞在したとき、日本にいるときとは違う音楽が聴きたくなったんです。当時、聴いていた音楽は、ロスの風景とともに今も鮮明に蘇ってきます。ずっと思い焦がれている土地へ行けたとしたら、こんどはどんな音楽が聴きたくなるのか、感情がどう変化するのか、わくわくします。きっと作る曲もかわってくるのかなって。

―― これからのpeppeさんと世界との関わりについて教えてください。

 制限された時期があるからこそ、行きたい場所に想いを馳せたり海外についてより強く意識するようになった、むしろ強く世界とのつながり感じるようになったと、前向きに考えています。緑黄色社会はまだ海外でライブをしたことがありませんが、世界遺産を通して世界について考えることは、いつか海外でライブをやってみたいという夢にもつながっていく。バンドの「アジア進出」も、「いつか必ず」と思うからこそ、より想いが募ります!

日本にもたくさん素敵な世界遺産があるからまずはそこから入ってみるのもいいですよね。








(2021年7月)

プロフィール
peppe(ぺっぺ)さん


愛知県出身4人組バンド、「緑黄色社会」でキーボードを担当。
自身のSNSでは読書や英語好きと発信し、またアパレルブランドのモデルにも抜擢。
2018年に1stアルバム「緑黄色社会」でメジャーデビュー後、映画・ドラマ・アニメの主題歌やCMソング、春の選抜高校野球テーマソングに起用されるなど、音楽ストリーミングサイトや動画サイトで、10代から20代の若者を中心に強い支持を集める。
2021年8月25日(水)、4th SINGLE「LITMUS」をリリース。


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