第31回 南 圭介さん

世界遺産にはSDGsの考え方と親和性がある。それを「知る・考える・実行する」ことで発信していきたい

第31回 南 圭介さん 俳優

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元々興味があった世界遺産。仕事でも接点が増えてマイスターの道へ

―― 南さんは2018年に2・3級、2020年に1級を取得されています。その後さらにマイスターを取得されたのはなぜですか?

 今から5~6年前、ちょうど僕が『宇宙戦隊キュウレンジャー』に出ていたころですが、あるクイズ番組で世界遺産を特集した回がありました。「キュウレンジャーを卒業したら自分は何者なのか?」と考えていた時期でもあり、何か得意分野を持とうと考えたとき、これだ!と思ったのが世界遺産です。昔から旅が好きだったので、世界遺産は興味のある分野でした。
 1級は壁が厚くて一度では合格できませんでした。でも、新型コロナウイルスの流行で時間が止まったようになったとき、「コロナにやられているのではなく、今だからこそ出来ることをしようと」思い、再度1級に挑戦することにしました。
 その後、TOKYO MXで世界遺産のレポーターをしたり、NHKの「高校講座・地理総合」の進行役にご指名をいただいたり、世界遺産で学んだことを仕事に生かせる場面が増えてきました。それらを全うするためにはもっと深い知識が必要なので、マイスターを取得しようと決心しました。

世界遺産に関するお仕事が増えるにつれ、「自分には世界遺産を伝える役割があるに違いない」と強く思うようになりました。

―― 印象に残っている世界遺産はどこですか?また南さんにとって世界遺産の魅力とは何ですか?

 TOKYO MXのお仕事では屋久島や奄美大島、青森などを訪れました。特に印象に残っているのは青森の「三内丸山遺跡」です。現地に行ってわかったことなんですが、ここは実は野球場を作ろうとしているときに発見されたんです。環状列石で知られる「小牧野遺跡」も高校生が偶然発見したそうです。何万年も前の遺跡が、実は身近な場所に眠っていたんですね。

最近ナスカでも新しい地上絵が発見されたように、長い間人知れず眠っていた遺跡が、もしかしたら身近にもあるんじゃないか、まだまだこれからも発見されるのではないか。そんなところに世界遺産のロマンを感じます。

マイスターの合格を経て「知る」だけでなく「考える・行動する」ことを意識するようになった

―― 興味ある世界遺産、行ってみたい世界遺産はどこですか?

 一番行ってみたいのは「ボロブドゥールの仏教寺院群」です。かつて一緒に仕事をさせていただいた放送作家の中野俊成さんが日本各地の巨大な大仏、観音を撮影していて、それを見たとき、街なかに大仏がまるで合成写真のように立っているのにインパクトを受けました。それがきっかけで観音や大仏にハマり、鎌倉や奈良をはじめ、各地の大きな仏像に会いに行っています。やはり巨大仏がある中国の「峨眉山と楽山大仏」も行ってみたい場所の一つです。

インドネシアは仕事のご縁があって何度も訪れているのですが、ボロブドゥールはまだ行ったことがありません。ぜひ一度ご挨拶、という気持ちで行ってみたいと思います。

―― 検定で得た世界遺産の知識を、今後どのようにお仕事のなかで活かしていきたいとお考えですか?

 海外に赴く番組リポーターなどで、世界と日本をつなげる仕事をしてみたいと思っています。先日、仕事でロンドンとリヴァプールを訪れる機会がありました。ヨーロッパは陸続きだから、1週間のスケジュールのなかでできるだけたくさん世界遺産を見てこようと思い、ウィーン、スロバキア、プラハ、ドイツなどにも行ってきました。帰国して即、写真と文章でブログ発信しています。
 マイスターに合格するためには、短に暗記したり知識を詰め込んだりするだけでなく、色々な観点で物事を考えることが必要でした。その結果、世界遺産をみんなで守っていくということは、「一人一人の考えを尊重する。誰一人取り残さない」というSDGsの考え方と親和性があることに気がつきました。そのうえで、今後はさらに考えて行動することで世界遺産の大切さを発信していきたいと思っています。
 今後はぜひファンクラブのみなさんと世界遺産を訪れるツアーも企画してみたいですね。マイスターの勉強中に、「三保松原」(「富士山-信仰の対象と芸術の源泉」の構成資産)で松原清掃のボランティアをする機会がありました。このように何か行動することでともに世界遺産の大切さを知り、「考えて行動する」を実行していきたいと思っています。

ブログでは、ロンドンの「ビッグベン」(「ウェストミンスター宮殿」)の鐘の音に日本を思い(後述)、かつて大英帝国を支えてきた「海商都市リヴァプール」が街の開発により2021年に世界遺産から抹消されてしまったこと、「ウィーンの歴史地区」が危機遺産に指定されていること、ほかにも「プラハの歴史地区」、「アムステルダム中心部」の運河、駆け足で訪れたドイツ「ベルリンのムゼウムスインゼル(博物館島)」のことを綴っています。
(写真はアムステルダム)

旅が何倍も楽しく、味わい深くなる世界遺産の学び

―― 最後に、「世界遺産について学ぼう」「検定を受けてみよう」と思っている方へメッセージをお願いします。

 世界遺産を学ぶことはとにかく楽しいです。検定も一つひとつステップを踏んでいけば必ず受かります。その成功体験が自信につながり、自分を輝かせてくれると思います。
 リヴァプールでタクシーに乗ったとき、ドライバーと世界遺産の話で盛り上がったことがありました。こんなふうに、世界遺産がコミュニケーションのツールになるという体験が旅先ではよくあります。ぜひ多くの方に検定にチャレンジしていただき、こうした魅力を味わってほしいですね。

ロンドンの「ビッグベン」の鐘の音は、実は日本人に馴染み深い「キンコンカンコン」なんです。異国にいるのに懐かしい気持ちになるなんて不思議ですよね。こんな発見があるのも世界遺産を学び、旅する醍醐味だと思います。








(2023年3月)

プロフィール
南 圭介(みなみ けいすけ)さん


サンズエンタテインメント所属
1985年7月3日生まれ
俳優として、テレビ朝日系列 「宇宙戦隊キュウレンジャー」(2017)、映画「BLOOD-CLUB DOLLS」(2018,2020)、映画「仮面ライダーゼロワン」(2020)、映画「国民の選択」(2021)、フジテレビ系列「最高のオバハン 中島ハルコ」(2022)などに出演。NHK Eテレ 高校講座「地理総合」では進行役を務めるなど、地理や歴史を扱う番組でも活躍。2023年に世界遺産検定マイスターに認定。

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