中村大輔さん/会社員

認定者インタビュー 中村大輔さん/職種などに依らず世界遺産に取り組む意味は大きいと思います

認定級 マイスター

中村大輔 さん

メーカー勤務

職種などに依らず世界遺産に取り組む意味は大きいと思います

―― 中村さんはこれまでどんなキャリアを積まれてきたのでしょうか?

 学生時代は東京大学大学院工学系研究科で半導体量子工学を学び、2006年に新卒で現在の民間企業に就職しました。世界遺産と親和性が高い観光業や旅行業ではなく、製造業の会社です。現在の部署では、比較的、海外の方と関りが多い環境で仕事をしています。海外出張も含め、海外の方と仕事をする機会も少なくないのですが、コミュニケーションや関係構築において世界遺産の知識は非常に役に立っています。

―― 具体的に仕事のどんなシーンで世界遺産の知識が役立っているのでしょうか?

 業務上のことなのであまり具体的には話せませんが、世界遺産の知見は海外ビジネスパートナーとの関係構築における強力な材料になると経験から感じています。先方の国に強い興味や関心を持っているという具体的な態度を示すことができるためです。
 誰しも自分の国のことをよく知っている方には親近感を覚えるものですし、実際に業務上で『自分が期待する交渉結果が得やすい』という実感は強く持っています。どうしても、業務上の関係性はベクトルが完全に一致しない状況もありますが、最後に細かい部分で埋め合わせができるのがそうした知見をベースにした関係性です。
 余談ですが、同じ世界遺産検定マイスターで大学勤務の妻も、留学生に懐いていただいているようです。

国際化著しい現代において日常的に広い視野を持つという、ビジネスパーソンにおける望ましい特性を持つきっかけにもなるため、職種などに依らず世界遺産に取り組む意味は大きいと思います。

―― そもそも、世界遺産検定を取得しようと思ったきっかけは何だったのでしょうか?

 世界遺産を知ることで、趣味の海外旅行を一層深く楽しむことができると考えたためです。もともと歴史や地理などにも興味があり、世界遺産はその延長線上として考えやすいことも大きかったと思います。検定は、世界遺産の制度のようなマクロ観点よりは各遺産の概要・価値といったミクロ観点に寄っているために、旅行者目線との相性がとても良いですね。また、以前に旅行全般の基礎として総合旅行業務取扱管理者の資格を妻と一緒に取ったのですが、その次に何かやろうかと考えていたタイミングに合致もしました。到達度が可視化されることは楽しく、妻も巻き込んで一緒にマイスターまで取得しました。
 以来、世界遺産や観光資源は夫婦間で大きな共通話題の一つとなっています。テレビで何か世界遺産が映るたびに家庭内で話が盛り上がるのは楽しいですよ(笑)。

―― 今まで訪れた中で印象に残っている世界遺産はどこですか?

 これまでの訪歴の中で特に印象に残っている世界遺産は、ベネズエラの『カナイマ国立公園』です。政情不安や治安の観点で気軽に行ける場所ではありませんが、結婚前の妻も強い興味を持っていたために一緒に必ず行こうと約束をしていました。結果として新婚旅行で行ったのですが、セスナから見るテーブルマウンテン群やアウヤンテプイから落ちるエンジェルフォールと虹は一生の思い出になりました。

背景を知ることで深みを増す文化遺産ももちろん良いですが、『カナイマ国立公園』は五感に訴える自然遺産の素晴らしさを最も感じた遺産です。

―― 中村さんは仕事で多忙な合間を縫って海外に行かれているようですが、その理由はなんでしょうか。

 幼稚園児の息子もいて簡単ではありませんが、それでも月1回ペースで海外に行くのは学生の頃に行けなかった反動もあるかもしれません。それ以上に大きい理由としては、自身が勉強したことを現地で実際に見たいということが挙げられます。いくら事前に机上で学習していたしても、実際に現地に行ってみるとはるかに多くの発見があることは断言できますね。
 ガイドをつけて詳細な説明を聞くことができますし、自然遺産だけではなく文化遺産においても重要な現地の環境を五感で感じることも有意義だと思います。もともと持っていた初歩的な知識が、現地訪問によって大きく増幅される過程は、何にも代え難い楽しみです。そのためにも、検定を入り口にさまざまな勉強をしておくことに意味があります。

―― 世界遺産検定は就職活動中の高校生、大学生も多く受けています。世界遺産を学ぶことは就職活動でどのようなアピール材料になると思いますか?

 世界遺産アカデミー認定講師として大学等で講義させていただく機会がありますが、その際に世界遺産検定の受検をお勧めしています。特に旅行業や観光業への就業を目標とされている方々には、顧客の関心が高い世界遺産に対して一定の知見を得る有効な近道になるでしょう。
 一方で自分のように直接の関連が薄い方向に進まれる方にとっても、世界遺産を通して世界の多様性を学ぶ態度や積極性は望ましいものとして訴求の一つになると思います。多忙な社会人になる前に、関心に応じて取り組まれることは大変に有意義です。
 どのような道に進まれる方においても、こうした知見は今後の人生において出会うさまざまな人や状況に溶け込む土台になるものと確信しています。

(2020年11月)