小田 亜希子氏/株式会社JTB

株式会社JTB

人事担当マネージャー

小田 亜希子氏

世界遺産の知識は大切。 でも持ち合わせているだけではなく、 その知識を活かせる人こそが 旅行業界で活躍できる

―― 御社における世界遺産検定の位置づけを教えてください。

 弊社では個人旅行販売、法人営業、「ルックJTB」をメインとしたパッケージツアーの商品企画など、さまざまな業務ポジションにおいて、世界遺産の知識・資格を活かすことができる環境があります。社内でも世界遺産検定の資格取得を推奨しています。年2回の通信教育の受講機会がありますが、「世界遺産検定e ラーニング講座」、「世界遺産検定2級対応講座」も設定されており、修了すると受講料全額補助となっています。(※2019年12月現在の制度)

 資格取得はマストでもゴールでもありませんが、旅行業において世界遺産やクルーズ、ブライダルの知識は旅行に親和性が高く業務に直結します。知識があればそれだけお客様への提案力、説得力も高まりますね。たとえば、世界遺産について知識があると「ここまで行くのなら、この世界遺産まで足をのばしてみたらどうですか」、「次は、この世界遺産を訪れてみませんか」といった具合に、お客様へプラスアルファのご提案がしやすくなります。もちろん自分でその世界遺産に足を運んだ上でおすすめするに越したことはありませんが、行ったことがなくても、知識をもとに説得力をもっておすすめするのが私たちの仕事です。

 「感動」という付加価値を販売する旅行業では、「人」の力がすべてだと思っています。社員の知識、見識がそのままお客様の満足度、ひいてはリピーターの獲得にもつながっていきます。

スペインのサグラダ・ファミリア贖罪教会(『アントニ・ガウディの作品群』として世界遺産登録)は3回訪れました。圧巻でしたね。今なお建設が進んでいるため、訪れるたびに姿が変わっているのも興味深いです。

―― 旅行業界を目指す学生へのアドバイスをお願いします。

 就活に有利になるかも知れない、という思いだけで取得するには、あまりにももったいないと感じます。世界に1,000以上ある世界遺産に訪れる機会があれば、現地でインスタ映えする写真を撮るだけではなく、当時の歴史的背景などを事前に調べておいて欲しいです。そうするだけで、訪れた事実だけではなく、知識が財産として蓄積されていくのではないかなと感じます。旅行業界は部署に関わらず、業務のほとんどが「人」に関わるものです。お客様のニーズをくみ取り、時にはニーズすら発掘していくことが仕事のスタート地点になるため、レベルの高いコミュニケーション能力が求められます。
 また旅行業界においては、世界で起こっているあらゆることが仕事につながっていきます。旅行業界を目指す学生には、観光という限られた切り口で世界を見るのではなく、政治や経済なども含め、世界で起きているいろいろなことに興味を持ってほしいですし、鮮度と確度の高い情報を収集するという意味でも、ぜひ積極的に世界に飛び出していってほしいですね。

(2019年12月)