株式会社エイチ・アイ・エス
本社人事本部 採用チーム
月村 将士氏
―― エイチ・アイ・エスの特徴を教えてください。
オンラインに特化した旅行会社が勢いを増しています。弊社でも売上の26パーセントはオンラインからの申込みですが、旅先でお客さまをいかにサポートできるかは、リアル店舗があってこそ。弊社の海外進出国数は旅行業において世界最大となる70カ国に及びます(2017年10月現在)。このネットワークの広さが我々の特徴であり強みです。
―― 月村さんは採用チームのリーダーとして、さまざまな採用にかかわっています。海外展開や新規事業にも積極的に取り組んでいるグローバル企業として、海外での体験は重視されるのでしょうか。
ありがたいことに海外での経験を持つ学生が多く集まってきます。頭の中だけの知識と、経験に基づく知識には大きな違いがあります。実際に体験しているというのは大きいですね。ただ体験だけを重視しているわけではありません。大切なのはその体験を通して何を得たか、です。
私自身、学生時代に訪れた国は9ヵ国。ガイドブックも持たず、気持ちの赴くままに旅をしていました。それぞれの街で、“生活する”ことを目的としていましたので、世界遺産とはあまり縁がありませんね(笑)。ただ、知識を身につけてから遺跡や歴史的建造物などを見ると、見え方も変わってくるはずです。世界遺産を学ぶこともそうですが、知識を得ることの醍醐味はこういったことだと今は感じています。
―― 新宿本社営業所、池袋本店では世界遺産検定の団体受検を実施し、特別賞、団体優秀賞を受賞しています。旅行会社に勤める方や希望している方が世界遺産を学ぶ意義はどんなところにあると思いますか。
弊社では「提案力」に磨きをかけるための知識習得・資格取得を推奨しています。インターネットを通じてお客さまご自身でさまざまな旅の情報が得られる時代、私たち旅行会社の役割は、検索では知りえないものをいかに提案していくことができるかどうかではないでしょうか。検索は、自分が知っているキーワードしか入れることができません。そんな中、深い知識をベースに、お客さまにどんな魅力的な提案していけるのか──。人が、人の世界を広げる。世界遺産検定は、「提案力」を発揮するうえで、その知識の裏付けになるものだと思います。
たとえばある遺跡を見たいというお客さまがいたとします。知識があればなぜその遺跡が見たいのかを伺い、その視点ならこんな選択肢もあるという提案ができます。関連の遺跡を提案することもできるでしょう。知識の広がりや深みは、私たちの価値を高めるためになくてはならないものです。
バーチャルは、リアルがあってこそ。お客さまとの対話のなかでさまざまな提案をさせていただき、旅のすばらしさをお伝えするためには、提案する私たちの中でしっかりと知識が落としこまれていることが不可欠です。世界遺産検定1級をお持ちの俳優の鈴木亮平さんが、テレビ番組などでご自身が行ったことのない世界遺産のことを紹介されていますが、確固たる知識に基づくものなのでとても説得力があります。
―― 御社に入社したいと考えている学生にとって「世界遺産検定」は有効な資格でしょうか。
学生時代から目的を持って知識を深めることはすばらしいと思います。エントリーシートの資格欄に「世界遺産検定」の文字を目にする機会も増えている印象です。資格についてこちらから話をふることはほとんどありませんが、会話をしていくなかで、話題になることはあります。大切なのは資格を取ることではなく、それがなんのための知識かということです。将来こんなことをやりたいからこの資格を取った、今からなにかのためにこんな勉強をしているといったことをしっかり伝えることができれば、説得力のあるアピールとなるはずです。
(2017年12月)