
なかなか諮問機関のICOMOSから「飛鳥・藤原の宮都」への勧告が出ないなと思っていたら、やっと出ました。世界遺産にふさわしいとする「登録」の勧告です。 おめでとうございます! 嬉しいですね! ざっと内容も見ましたが、選ばれた構成資産の内容も登録基準や資産範囲も、比較分析や保全体制も、ほぼ日本から推薦された内容が評価されていて、文句なしの「登録」勧告でした。自治体や文化庁を始めとする関係者全員が万全の準備をしてきた結果だと思います。
最後に構成資産から外された大和三山(畝傍山、耳成山、香具山)も、「飛鳥・藤原の宮都」を理解する上で重要な構成物であるとして、インタープリテーション計画の中にしっかりと組み込んで守っていくことが求められています。飛鳥・藤原の一帯は、紀伊山地と平城京・平安京の間に位置し、自然景観と人々の文化のつながりも強い場所なので、僕たちも訪れた時には周辺の自然と共に古代に思いを馳せたいですね。飛鳥・藤原の時代の人々もほとんど同じ大和三山と月を見上げていたんだろうなと思うと、心が震えます。
意図的に外しているのではないかと疑いたくなる報道もありますが、「飛鳥・藤原の宮都」の特徴は、中国大陸や朝鮮半島との交流の中で影響を受けながら日本の初期の宮都が築かれた証拠であるという点です。ICOMOSの評価書にも書かれているのは、中国の律令制度をモデルとして東アジア地域に中央集権体制が確立していく過程を「飛鳥・藤原の宮都」が示しているという点です。それが後の平城京や平安京などの都の建造と発展に影響を与えていきました。現在の律令国家としての日本や天皇制などの初期において「文化交流」がいかに重要であったのかが、「価値観の交流」の登録基準(ii)が認められたことからもわかります。もうひとつ認められたのが、東アジア地域において古代の宮都が築かれた時代を証明していることを評価する「文明の証拠」の登録基準(iii)です。
7月19日から韓国の釜山で第48回世界遺産委員会が始まります。新規登録に関する審議は7月24日から始まる予定で、暫定の審議順では「飛鳥・藤原の宮都」は18番目なので、登録が決まるのは25日(土)の午後か26日の午前の辺りでしょうか。
現在は取り外して保存されているキトラ古墳や高松塚古墳の壁画を、将来的に元の位置に戻すことを目指す研究を続けることや、大和三山を含めたインタープリテーション計画の策定、藤原宮跡全体の史跡指定、遺跡近くの道路交通による振動の影響をモニタリングしていくことなどが追加で求められていますが、世界遺産委員会での審議には大きな影響はないので、心穏やかに楽しみにしながら登録の瞬間を見守りたいと思います。皆さんもぜひご注目ください!
(2026.06.06)
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