■ 研究員ブログ229 ■ 第48回世界遺産委員会②:韓国の力の入れ具合を感じる


朝起きて窓を開けると、窓の外は一面真っ白の霧で、目の前のビルも見えないほどでした。海の近くなので霧が出やすい場所なのかもしれません。会場まで小雨の中を歩いていくと、湿気のためにじっとりと汗をかいてしまいました。そして会場は相変わらず、肩が凝るほどに寒い・・・。

世界遺産委員会の本会議の初日は、今回初めてUNESCO事務局長として参加されるハーリド・エル・アナーニ氏の挨拶で始まりました。

アナーニ氏の母国であるエジプトの、ヌビアの遺跡群の救済キャンペーンが世界遺産条約に大きく関係していること、そしてそのキャンペーンを通して「文化遺産は国々を結びつける力がある」ということを示したことが大切で、だからこそ世界遺産は人々を結びつける力があると強調します。また、世界遺産はいま岐路に立たされており、武力紛争と気候変動、開発という3つの大きな課題に直面しています。それを解決するには対話と協力が欠かせないと訴えました。

続いて、韓国のホ・ミン国家遺産庁長官からは、世界遺産の「5つのC」に「コラボレーション(Collaboration)」を加えて「6つのC」を目指すという挨拶がありました。今回の展示や内容からも、自然を含む文化財の保護に対する韓国の力の入れ具合がわかります。文化に予算もずいぶんかけていると感じました。日本の自治体の人と話していても、日本の文化関連予算はかなり渋いですから、日本ももっと力を入れたらよいのにと思います。

午前のオブザーバーの承認のところでは、ウクライナ代表がロシアの2つの団体「ロシア北方先住民族協会」と「保護地域専門評議会」がUNESCOだけでなく国連の活動にも反している(代表者は欧米各国から制裁対象になっている)として、オブザーバー資格のはく奪を求め、承認されました。

第47回世界遺産委員会の報告などいろいろありましたが省略。

お昼休みにはいくつかのサイドイベントが開催されます。僕は、世界遺産検定マイスターで認定講師でもある李貞善(イ・ジョンソン)さんが登壇される「平和の礎」に関するイベントに参加してきました。李さんは韓国ICOMOSの会員で東京大学の特任助教でもあるほか、韓国の暫定リスト記載遺産「避難首都・釜山の遺産」の推薦にも関わっていらっしゃいます。7月4日にも世界遺産アカデミーの講演会に登壇していただきましたが、今回は「避難首都・釜山の遺産」にとどまらない、より大きな視点での話でした。公式のプロフィールに世界遺産検定も出てきて感無量です!

お昼には快晴になっていて、本会議場に戻ると、朝鮮王朝時代の衛兵が入口を護っていました。衛兵交代のパフォーマンスが行われたようです。見逃した・・・残念。

午後は世界遺産センターの活動について報告があり、その後、各国からさまざまな意見が出されました。ここが毎年長引くので、スケジュールを立てる段階でもっと時間を割いておけばいいのにといつも思います。今年もここで時間が長引き、ケニアとセネガル、トーゴが提案した世界遺産センターに対するガバナンスの強化や、さまざまな能力強化に関する評価を行う提案は、チェコやヴェトナム、スイスなどの反対意見もあってまとまらず、明日の朝に引き続き審議されることとなりました。

18時半ころに会場を出ると、きれいに晴れていて、湿気も少し収まっていました。地下鉄に乗って帰ろうと思ったら、何度やってもアプリが入れられず、結局歩いて帰ることに。歩くと街のことをいろいろと感じられるので歩くのは大好きなのですが、やっぱり汗だくになりました。明日はどうしようかな。

(2026.07.20)