
今年の台風はなんだか変な動きをするものが多いですね。東から西に行ったり、同じ場所に居座ってぐるぐる回ったり。世界各地での異常な高気温だけでなく、先日のネパールでの大規模な土石流も氷河の崩落がきっかけとなっているとの報道もあり、最近は各国の政府の中でも優先順位が下がりつつあるように感じる気候変動対策を、早急に取り組むべきではないかと感じてしまいます。大雨の可能性がある地域の皆様はくれぐれもお気をつけください。
昨日の9月3日に開催された文化庁文化審議会世界文化遺産部会において、「彦根城」を世界遺産への推薦候補とすることが決定しました。おめでとうございます! 「彦根城」は、日本が世界遺産条約を批准した1992年に作成した最初の暫定リストに記載された遺産なので、そこから34年をかけて推薦に向けて動き出したことになります。
最初に暫定リストに記載された12件の遺産のうち、いまだに世界遺産リストに記載されてない遺産は「彦根城」と「古都鎌倉の寺院・寺社ほか」の2件ですが、鎌倉は2012年に一度推薦されており、まだ推薦されたことがない遺産は「彦根城」だけでした。その背景には、世界遺産委員会の方針と『姫路城』の存在があります。
世界遺産委員会では、世界遺産リストに記載されている遺産に様々な不均衡があるとの指摘を受けて、90年代頃から世界遺産リストに記載されている遺産のギャップ分析や、遺産のテーマ研究などが行われてきました。ギャップ分析というのは、世界遺産に既に多く登録されている遺産の分野と、まだ登録が少ない分野や登録されていない分野のギャップを研究するもので、テーマ研究は今後登録するのにふさわしい分野やテーマなどを研究するものです。これで世界遺産リストに記載されている遺産が、バランスよく人類や地球の全ての歴史や地域、テーマなどをカバーして守っていくことを目指しています。
その中で、1993年に日本の木造城郭建築の傑作として『姫路城』が世界遺産に登録されたため、「彦根城」は『姫路城』とは異なる価値で世界遺産登録を目指さないといけなくなりました。世界の人々の、日本の歴史文化や城に対する解像度が低い中で、世界遺産の価値として違いを出していくのは困難な作業でした。
今回、「彦根城」は天守単体の価値ではなく、江戸時代の大名による統治システムを証明する天守や御殿、重臣屋敷跡などを価値として推薦を行います。正式な推薦書は、世界遺産条約関係省庁連絡会議と閣議了解を経て、2027年2月1日までに提出されます。そして2028年7月頃に開催される世界遺産委員会で登録の可否が審議されます。まだまだここからすべきことは多いと思いますが、僕たちは楽しみに見守り、応援するだけですね。
彦根城から見る琵琶湖は本当に美しいので、ぜひ皆さんも彦根城に足を運び、江戸時代に大名がどのような統治をしていたのか、幕府がどのような統治を目指していたのか、思いを馳せてみてください。きっと、ひこにゃんにも会えますよ。
(2026.09.04)